緊きん急きゅうな事じ態たいです。ヨセフは急いそいでマリアを起おこします。たった今いまエホバの天てん使しが夢ゆめでヨセフに現あらわれてこう言いったのです。「起おきて，子こ供どもとその母はは親おやを連つれてエジプトに逃にげ，私わたしが知しらせるまでとどまりなさい。ヘロデがこの子こを捜さがして殺ころそうとしています」。（マタイ 2:13）

すぐその夜よるのうちに，ヨセフとマリアはイエスを連つれて逃にげます。本ほん当とうに危あぶないところでした。ヘロデが占せん星せい術じゅつ師したちに期き待たいを裏うら切ぎられたことに気き付づいたからです。ヘロデは彼かれらに，イエスを見みつけたなら戻もどってきて報ほう告こくするようにと命めいじていました。ところが，占せん星せい術じゅつ師したちはそうせずに自じ分ぶんたちの国くにへ帰かえってしまったのです。そこでヘロデは激げき怒どします。何なんとかしてイエスを殺ころそうとします。そしてベツレヘムとその周しゅう辺へんにいる2歳さい以い下かの男おとこの子こを全ぜん員いん殺ころせ，と命めいじます。その年ねん齢れいは，東ひがしの方ほうから来きた占せん星せい術じゅつ師したちの話はなしを基もとに割わり出だしたものです。

ぞっとするような出で来き事ごとです。何なん人にんの男おとこの子こが殺ころされたのかは分わかりませんが，子こ供どもを奪うばわれた母はは親おやたちは悲ひ痛つうな泣なき声ごえを上あげます。こうして，神かみの預よ言げん者しゃエレミヤが語かたった聖せい書しょ預よ言げんが実じつ現げんします。（エレミヤ 31:15）

一いっ方ぽう，ヨセフとその家か族ぞくはエジプトに逃にげ，そこでしばらく暮くらすことにします。ある晩ばん，エホバの天てん使しが再ふたたび夢ゆめの中なかに現あらわれ，ヨセフにこう告つげます。「起おきて，子こ供どもとその母はは親おやを連つれてイスラエルに行いきなさい。子こ供どもの命いのちを狙ねらっていた者ものたちは死しにました」。（マタイ 2:20）そこでヨセフは，やっと家か族ぞくで故こ郷きょうに帰かえれると考かんがえます。このようにして，神かみの子こがエジプトから呼よび出だされる，という別べつの聖せい書しょ預よ言げんが実じつ現げんします。（ホセア 11:1）

ヨセフは，家か族ぞくとユダヤのベツレヘムの近ちかくに落おち着つこ うと考かんがえているようです。ベツレヘムはエジプトに逃にげる前まえに住すんでいた場ば所しょでした。しかし，今いまユダヤの王おうとして支し配はいしているのはヘロデの邪じゃ悪あくな息子むすこアケラオです。それで神かみは，再ふたたびヨセフに夢ゆめの中なかで警けい告こくを与あたえます。そのため，ヨセフと家か族ぞくはさらに北きたへ向むかい，ガリラヤ地ち方ほうのナザレという町まちにやって来きます。ナザレはユダヤ人じんの崇すう拝はいの中ちゅう心しん地ちであったエルサレムからかなり離はなれた所ところです。イエスはその町まちで育そだちます。こうして，「彼かれはナザレ人じんと呼よばれる」というもう1つの預よ言げんが実じつ現げんします。（マタイ 2:23）