1‐3. (イ)エステル​が​夫​の​王座​に​近づい​た​時​の​状況​を​説明​し​て​ください。(ロ)王​は​どの​よう​に​エステル​を​迎え​まし​た​か。

エステル​は​どきどき​し​ながら,ゆっくり​王座​に​近づき​ます。ペルシャ​の​シュシャン​の​宮殿​の​大広間​は​静まり返り​ます。自分​の​かすか​な​足音​や​衣擦れ​の​音​さえ​聞こえ​ます。宮廷​の​壮麗​さ​や,優美​な​円柱,遠く​レバノン​から​輸入​さ​れ​た​杉材​に​豪華​な​彫刻​を​施し​た​天井​など​に​見とれる​余裕​は​あり​ませ​ん。エステル​は,王座​に​座っ​て​いる​人物​に​全​神経​を​集中​さ​せ​ます。自分​の​命​は​その​人​の​掌中​に​ある​の​です。

2 王​は,近づい​て​来る​エステル​を​見つめ,金​の​笏​を​差し伸べ​ます。簡単​な​動作​です​が,それ​に​よっ​て​エステル​は​死な​ず​に​済み​ます。招か​れ​て​い​ない​の​に​王​の​前​に​出る​と​いう​違法​行為​を​許さ​れ​た​の​です。エステル​は​王座​に​近づい​て​手​を​伸ばし,感謝​し​つつ,笏​の​先​に​触れ​ます。―エス 5:1,2

エステル​は​謙遜​に​王​の​憐れみ​へ​の​感謝​を​示し​た

3 アハシュエロス​王​の​周り​の​もの​すべて​に,莫大​な​富​と​権力​が​表われ​て​い​ます。当時​の​ペルシャ​の​帝王​たち​の​衣​に​は​何億​ドル​も​の​価値​が​あっ​た​と​言わ​れ​て​い​ます。と​は​いえ,エステル​は​夫​の​目​に​温かさ​を​感じ​ます。王​は,王​なり​に​エステル​を​愛し​て​い​た​の​です。王​は​こう​言い​ます。「王妃​エステル​よ,どう​し​た​の​か。あなた​の​願い​は​何​か。王権​の​半分​で​も ― それ​も​あなた​に​与え​られる​よう​に!」―エス 5:3

4. どんな​難題​が​控え​て​い​まし​た​か。

4 エステル​は​すでに​並外れ​た​信仰​と​勇気​を​示し​て​い​まし​た。自分​の​民族​を​絶滅​の​陰謀​から​守る​ため,王​の​前​に​出​た​の​です。ここ​まで​は​うまく​ゆき​まし​た​が,さらに​大きな​難題​が​控え​て​い​ます。王​の​最も​信頼​する​顧問​官​が​邪悪​な​男​で​あり,王​を​だまし​て​エステル​の​民族​を​死​に​定め​させ​た,と​いう​こと​を​この​誇り高い​王​に​分かっ​て​もらわ​なけれ​ば​なり​ませ​ん。エステル​は​どの​よう​に​し​て​王​を​説得​する​つもり​でしょ​う​か。わたしたち​は​エステル​の​信仰​から​何​を​学べ​ます​か。

 「話す……時」を​賢く​選ぶ

5,6. (イ)エステル​は​伝道​の​書 3​章​1,7​節​の​原則​を​どの​よう​に​当てはめ​まし​た​か。(ロ)エステル​は​夫​に​接する​際,どの​よう​に​賢く​振る舞い​まし​た​か。

5 宮廷​の​人々​の​前​で​王​に​すべて​を​打ち明ける​べき​でしょ​う​か。もし​そう​する​なら,王​に​恥​を​かか​せ,顧問​官​ハマン​に​反論​の​時間​を​与え​て​しまう​か​も​しれ​ませ​ん。エステル​は​どう​する​でしょ​う​か。これ​より​何​世紀​も​前,賢王​ソロモン​は​霊感​の​もと​に​こう​書き​まし​た。「何事​に​も​定め​られ​た​時​が​ある。……黙っ​て​いる​の​に​時​が​あり,話す​の​に​時​が​ある」。(伝 3:1,7)忠実​な​人​で​ある​養父​モルデカイ​は,エステル​が​成長​し​て​ゆく​時​に​その​よう​な​原則​を​教え​て​い​た​こと​でしょ​う。エステル​は,「話す……時」を​慎重​に​選ぶ​こと​の​大切​さ​を​理解​し​て​い​た​に​違いあり​ませ​ん。

6 エステル​は​こう​言い​ます。「もし,王​に​とっ​て​確か​に​良い​と​思わ​れる​の​でし​たら,私​が​王​の​ため​に​設け​まし​た​宴会​に​今日,ハマン​と​ご一緒​に​おいで​に​なり​ます​よう​に」。(エス 5:4)王​は​承諾​し,ハマン​も​来さ​せ​ます。エステル​が​賢い​ 話し方​を​し​た​こと​に​お気づき​でしょ​う​か。夫​の​尊厳​を​重んじ​つつ,心配事​を​打ち明ける​の​に​一層​ふさわしい​状況​を​作り出し​た​の​です。―箴言 10:19を​読む。

7,8. エステル​の​催し​た​一​度​目​の​宴会​は​どんな​様子​でし​た​か。エステル​が​王​に​話す​の​を​先​に​延ばし​た​の​は​なぜ​です​か。

7 エステル​は​その​宴​を​注意深く​準備​し,細か​な​点​も​すべて​夫​の​好み​に​合う​よう​に​し​た​こと​でしょ​う。楽しい​雰囲気​を​醸し出す​ため​に​上等​の​ぶどう​酒​も​振る舞わ​れ​まし​た。(詩 104:15)アハシュエロス​は​上機嫌​に​なり,あなた​の​請願​は​何​か​と,エステル​に​再び​尋ね​ます。今​こそ​話す​時​でしょ​う​か。

8 エステル​は​そう​思い​ませ​ん​でし​た。翌日​に​催す​二​度​目​の​宴会​に​王​と​ハマン​を​招待​し​ます。(エス 5:7,8)なぜ​先​に​延ばし​た​の​でしょ​う​か。王​の​布告​に​よっ​て​エステル​の​民族​すべて​が​死​の​危険​に​直面​し​て​い​まし​た。それ​ほど​多く​の​命​が​関係​し​て​い​た​の​で,今​が​話​す​べき​時​だ​と​いう​確信​が​必要​です。それで,時​を​待ち,夫​へ​の​深い​敬意​を​表わす​機会​を​もう​一度​設ける​こと​に​し​た​の​です。

9. 辛抱強さ​に​は​どんな​価値​が​あり​ます​か。辛抱強さ​を​示す​点​で,どの​よう​に​エステル​の​模範​に​倣え​ます​か。

 9 辛抱強さ​は,あまり​見​られ​ない​貴重​な​特質​です。エステル​は,不安​を​抱え,早く​話​し​たい​と​いう​気持ち​が​あっ​た​もの​の,ふさわしい​時​を​辛抱強く​待ち​まし​た。わたしたち​は​この​模範​から​多く​の​こと​を​学べ​ます。だれしも,正さ​れる​べき​問題​を​目​に​し​た​こと​が​ある​でしょ​う。しかる​べき​権限​の​ある​人​に​その​件​を​扱っ​て​もらい​たい​なら,エステル​に​倣っ​て​辛抱強く​ある​べき​でしょ​う。箴言 25​章​15​節​に​は,「辛抱強さ​に​よっ​て​司令​官​も​説得​さ​れ,温和​な​舌​は​骨​を​も​砕く」と​あり​ます。エステル​の​よう​に​ふさわしい​時​を​辛抱強く​待っ​て​温和​に​話す​なら,骨​の​よう​に​固く​強い​反対​も​砕か​れる​か​も​しれ​ませ​ん。エステル​の​神​エホバ​は,彼女​の​辛抱強さ​と​賢さ​を​祝福​な​さる​でしょ​う​か。

辛抱強さ​が​公正​へ​の​道​を​開く

10,11. 一​度​目​の​宴会​の​後,ハマン​の​気分​が​変わっ​た​の​は​なぜ​です​か。妻​と​友人​たち​は​ハマン​に​何​を​勧め​まし​た​か。

10 エステル​の​辛抱強さ​が​道​を​開き,事態​は​驚く​べき​展開​を​見せ​ます。ハマン​ は,一​度​目​の​宴会​で​王​と​王妃​から​好意​を​示さ​れ​た​と​感じ,「喜び​に​満ちあふれ,心​に​楽しみ​ながら」意気揚々​と​帰り​ます。しかし,城​の​門​を​通る​時,モルデカイ​が​目​に​留まり​ます。この​ユダヤ​人​は​いまだ​に​ハマン​に​特別​の​敬意​を​表わそ​う​と​し​ませ​ん。前​の​章​で​述べ​た​とおり,モルデカイ​が​その​よう​な​態度​を​取っ​て​い​た​の​は​軽蔑​の​気持ち​から​で​は​なく,自分​の​良心​の​ゆえ,エホバ​と​の​関係​の​ゆえ​です。しかし​ハマン​は,「直ちに……激しい​怒り​に​満たさ​れ」ます。―エス 5:9

11 ハマン​から​その​不敬​な​態度​に​つい​て​聞い​た​妻​と​友人​たち​は,高さ​22​㍍​ほど​の​杭​を​用意​し​て​モルデカイ​を​それ​に​掛ける​許可​を​王​に​求める​よう​に​と​勧め​ます。ハマン​は​その​案​が​気​に​入り,すぐ​に​取りかかり​ます。―エス 5:12‐14

12. 王​が​国​の​公​文書​を​読み上げ​させ​た​の​は​なぜ​です​か。王​は​何​を​知り​まし​た​か。

12 一方,王​は​その​夜,なかなか​寝つけ​ませ​ん。「王​の​眠り​は​消失​し​た」と​聖書​は​述べ​て​い​ます。そこで​王​は,国​の​公​文書​を​読み上げ​させ​ます。それ​に​は,アハシュエロス​暗殺​の​陰謀​に​関する​記録​が​含ま​れ​て​い​まし​た。王​は​その​件​を​思い出し​ます。陰謀​を​企て​た​者​たち​は​逮捕​さ​れ​て​処刑​さ​れ​まし​た。では,陰謀​を​知らせ​た​モルデカイ​は​どう​なっ​た​でしょ​う​か。王​は​はっ​と​し​て,モルデカイ​に​どんな​報い​が​与え​られ​た​か,と​尋ね​ます。何​も​なさ​れ​て​い​ない,と​いう​答え​が​返っ​て​き​ます。―エステル 6:1‐3を​読む。

13,14. (イ)ハマン​に​とっ​て,事態​は​どの​よう​に​悪い​方向​へ​進み​始め​まし​た​か。(ロ)妻​と​友人​たち​は​ハマン​に​何​と​言い​まし​た​か。

13 動揺​し​た​王​は,この​手抜かり​を​正す​ため​に​すぐ​行動​できる​廷臣​が​い​ない​か​尋ね​ます。早朝​だっ​た​よう​です​が,なんと​ハマン​が​王​の​中庭​に​い​ます。モルデカイ​を​処刑​する​許可​を​ぜひ​取り付け​たい​と​思っ​て​い​た​の​です。ところが,ハマン​が​願い​を​述べる​前​に,王​は​ハマン​に,王​の​好意​を​得​た​人​に​栄誉​を​与える​に​は​どう​する​の​が​一番​良い​か​と​尋ね​ます。ハマン​は​それ​が​自分​の​こと​だ​と​思い込み,華々しい​栄誉​の​与え方​を​提案​し​ます。その​人​に​王​の​衣​を​まとわ​せ,高官​に​命じ​て​その​人​を​王​の​馬​に​乗せ​て​シュシャン​の​中​を​行進​さ​せ,皆​に​聞こえる​よう​に​その​人​を​称賛​さ​せる,と​いう​方法​です。しかし,栄誉​を​与え​られる​の​は​モルデカイ​です。その​こと​を​知っ​た​時​の​ハマン​の​表情​を​想像​し​て​み​て​ください。しかも,モルデカイ​を​大声​で​称賛​する​よう​任じ​られ​た​の​は,ほか​で​も​ない​ハマン​だっ​た​の​です。―エス 6:4‐10

14 ハマン​は,この​忌まわしい​務め​を​しぶしぶ​果たし​た​後,悲嘆​し​ながら​急い​で​帰宅​し​ます。妻​と​友人​たち​は,こう​し​た​事態​の​展開​は​悪い​兆し​に​違いない,あなた​は​ユダヤ​人​モルデカイ​と​の​闘い​に​必ず​敗れる​だろ​う,と​言い​ます。―エス 6:12,13

15. (イ)エステル​の​辛抱強さ​は​どんな​良い​結果​を​生み​まし​た​か。(ロ)「神​を​待ち望(む)」の​が​賢明​な​の​は​なぜ​です​か。

 15 エステル​が​辛抱強く​あり,自分​の​願い​を​王​に​述べる​時​を​もう​1​日​延ばし​た​の​で,ハマン​は​自ら​の​没落​の​きっかけ​を​作る​こと​に​なり​まし​た。エホバ​神​が​王​の​眠り​を​妨げ​られ​た​の​か​も​しれ​ませ​ん。(箴 21:1)聖書​が「神​を​待ち望(む)」よう​勧め​て​いる​の​は,もっとも​な​こと​です。ミカ 7:7を​読む。わたしたち​も​神​を​待つ​なら,問題​を​解決​する​点​で​自分​の​方法​より​神​の​方法​の​ほう​が​はるか​に​優れ​て​いる,と​いう​こと​に​気づく​でしょ​う。

勇敢​に​話す

16,17. (イ)エステル​の「話す……時」は​いつ​来​まし​た​か。(ロ)エステル​は​王​の​前妻​ワシテ​と​は​どの​よう​に​異なっ​て​い​まし​た​か。

16 エステル​は,もう​王​の​辛抱​を​試そ​う​と​は​し​ませ​ん。二​度​目​の​宴会​が​始まり​ます。すべて​を​話さ​なけれ​ば​なり​ませ​ん。しかし,どの​よう​に​話し​たら​よい​の​でしょ​う。すると​王​から,あなた​の​請願​は​何​か​と​再び​尋ね​られ,話す​機会​を​与え​られ​ます。(エス 7:2)ついに,「話す……時」が​来​た​の​です。

17 エステル​は,おそらく​神​に​無言​の​祈り​を​ささげ​て​から,こう​言い​ます。「王​よ,もし​私​が​あなた​の​目​に​恵み​を​得​て​いる​の​でし​たら,またも​し​王​に​とっ​て​確か​に​良い​と​思わ​れる​の​でし​たら,私​の​請願​に​したがって​私​に​私​の​魂​が​与え​られ,私​の​願い​に​したがって​私​の​民族​が​与え​られ​ます​よう​に」。(エス 7:3)エステル​は,何​が​良い​と​思える​か​に​関し​て​王​の​判断​を​重んじ​たい​と​述べ​て​い​ます。故意​に​王​を​辱め​た​前妻​ワシテ​と​は​全く​異なっ​て​い​ます。(エス 1:10‐12)また,ハマン​を​信頼​し​た​王​の​愚か​さ​を​批判​する​の​で​は​なく,自分​の​命​を​危険​から​守っ​て​ほしい​と​嘆願​し​て​い​ます。

18. エステル​は​どの​よう​に​問題​を​王​に​打ち明け​まし​た​か。

 18 王​は​この​願い​を​聞い​て,心​を​動かさ​れ​た​と​同時​に​驚い​た​に​違いあり​ませ​ん。一体​だれ​が​王妃​の​命​を​危うく​し​て​いる​の​でしょ​う​か。エステル​は​こう​続け​ます。「私たち​は​売ら​れ​て​おり​まし​て,私​も​私​の​民族​も,根絶やし​に​され,殺さ​れ,滅ぼさ​れ​よう​と​し​て​おり​ます。ところで,もし​私たち​が​単に​男​の​奴隷​や​はしため​と​し​て​売ら​れ​た​だけ​でし​たら,私​は​黙っ​て​い​た​こと​でしょ​う。けれども,王​の​損害​と​なる​場合​に​は,その​苦難​は​ふさわしく​ござい​ませ​ん」。(エス 7:4)エステル​は​問題​を​ありのまま​に​話し​て​い​ます。そして,自分​たち​が​奴隷​に​される​だけ​なら​自分​は​黙っ​て​い​た​が,虐殺​さ​れる​の​で​あれ​ば​王​が​多大​の​損害​を​被る​こと​に​なる​の​で,黙っ​て​いる​わけ​に​は​ゆか​ない,と​述べ​て​い​ます。

19. 説得​の​技術​に​つい​て​エステル​から​何​を​学べ​ます​か。

19 エステル​の​模範​から,説得​の​技術​に​つい​て​多く​を​学べ​ます。家族​やし​かる​べき​権限​の​ある​人​に​重大​な​問題​を​話す​必要​が​ある​時​に​は,辛抱強さ​と​敬意​と​率直​さ​が​肝要​です。―箴 16:21,23

20,21. (イ)エステル​は​ハマン​の​悪事​を​どの​よう​に​暴露​し​まし​た​か。王​は​どの​よう​に​反応​し​まし​た​か。(ロ)陰謀​を​企て​た​卑怯​者​で​ある​こと​を​暴露​さ​れ​た​ハマン​は​どう​し​まし​た​か。

20 アハシュエロス​は​強い​口調​で,「それ​は​一体​だれ​か。大胆​に​も​その​よう​に​し​よう​と​し​た​者​は​一体​どこ​に​いる​の​か」と​尋ね​ます。エステル​は,おそらく​ハマン​を​指さし​て,「敵対​者​で,敵​で​ある​その​男​は,この​悪い​ハマン​です」と​言い​ます。告発​が​なさ​れ​まし​た。緊張​し​た​空気​が​漂い,ハマン​は​恐怖​に​おののき​ます。短気​な​王​の​顔​が​怒り​で​紅潮​し​ます。信頼​し​て​い​た​顧問​官​に​だまさ​れ,愛する​妻​の​命​を​奪う​命令​に​承認​を​与え​て​しまっ​た​の​です。王​は​気持ち​を​落ち着ける​ため,園​へ​出​て​行き​ます。―エス 7:5‐7

エステル​は​勇敢​に​ハマン​の​邪悪​さ​を​指摘​し​た

 21 陰謀​を​企て​た​卑怯​者​で​ある​こと​を​暴露​さ​れ​た​ハマン​は,王妃​の​足元​に​ひれ伏し​ます。戻っ​て​来​た​王​は,ハマン​が​エステル​の​寝​いす​の​上​で​エステル​に​哀願​し​て​いる​の​を​見​て,王​の​家​で​王妃​を​強姦​し​よう​と​し​た​と​言っ​て​怒り​ます。その​言葉​は​ハマン​に​とっ​て​死​の​宣告​も​同然​です。ハマン​は​顔​を​覆わ​れ,連れ​て​行か​れ​ます。廷臣​の​一​人​が​王​に,ハマン​が​モルデカイ​の​ため​に​用意​し​た​大きな​杭​の​こと​を​話す​と,王​は​直ちに,ハマン​自身​を​その​杭​に​掛ける​よう​命じ​ます。―エス 7:8‐10

22. エステル​の​模範​から,あきらめ​たり​希望​や​信仰​を​失っ​たり​し​て​は​なら​ない​こと​に​つい​て​何​を​学べ​ます​か。

22 不正​の​はびこる​今​の​世​の​中​を​見​て,公正​な​裁き​は​期待​でき​ない​と​思う​人​は​少なく​あり​ませ​ん。エステル​は,決して​あきらめ​ず,希望​や​信仰​を​失い​ませ​ん​でし​た。ふさわしい​時​を​待ち,正しい​事柄​を​擁護​し​て​勇敢​に​語り,あと​は​エホバ​に​信頼​を​置き​まし​た。わたしたち​も​そう​し​ましょ​う。エホバ​は​エステル​の​時代​も​今​も​変わっ​て​おら​れ​ませ​ん。ハマン​に​対し​て​行なっ​た​よう​に,邪悪​で​狡猾​な​者​たち​を​彼ら​自身​の​仕掛け​た​罠​に​よっ​て​捕らえる​こと​さえ​おでき​に​なる​の​です。―詩編 7:11‐16を​読む。

エホバ​と​民​の​ため​に​無私​の​気持ち​で​行動​する

23. (イ)王​は​モルデカイ​と​エステル​に​どんな​報い​を​与え​まし​た​か。(ロ)ベニヤミン​に​関する​ヤコブ​の​臨終​の​預言​は​どの​よう​に​成就​し​まし​た​か。(「 預言​の​成就」と​いう​囲み​を​参照。)

23 ついに​王​は,モルデカイ​が​どういう​人物​な​の​か​を​知り​ます。モルデカイ​は,暗殺​を​未然​に​防い​だ​忠節​な​人​で​ある​だけ​で​なく,エステル​の​養父​で​も​ある​の​です。アハシュエロス​は,ハマン​の​首相​の​地位​を​モルデカイ​に​授け​ます。また,ハマン​の​家​を​その​莫大​な​財産​と​共​に​エステル​に​与え,エステル​は​その​管理​を​モルデカイ​に​委ね​ます。―エス 8:1,2

24,25. (イ)ハマン​の​陰謀​が​暴か​れ​た​の​に,エステル​が​気​を​緩める​わけ​に​は​ゆか​なかっ​た​の​は​なぜ​です​か。(ロ)エステル​は​どの​よう​に​もう​一度​命​の​危険​を​冒し​まし​た​か。

24 王妃​エステル​は,自分​と​モルデカイ​の​身​の​安全​が​確保​さ​れ​た​の​で,気​を​緩め​て​しまう​でしょ​う​か。利己​的​な​人​で​あれ​ば,そう​し​た​か​も​しれ​ませ​ん。しかし​この​時,ユダヤ​人​を​皆殺し​に​せよ​と​いう​ハマン​の​布告​が​帝国​全土​に​伝え​られ​つつ​あり​まし​た。ハマン​は,その​猛​攻撃​を​実行​する​の​に​最適​な​時​を​決める​ため, 心霊​術​の​一​種​と​思わ​れる​プル​つまり​くじ​を​投げ​て​い​まし​た。(エス 9:24‐26)その​日​は​何​か月​も​先​です​が,足早​に​近づい​て​い​ます。危機​は​まだ​回避​できる​の​でしょ​う​か。

25 エステル​は,無私​の​気持ち​から​再び​命​の​危険​を​冒し,正式​に​招か​れ​て​い​ない​の​に​王​の​前​に​出​ます。そして,自分​の​民族​の​ため​に​泣き,恐ろしい​勅令​を​無効​に​し​て​ほしい​と​夫​に​嘆願​し​ます。しかし,ペルシャ​の​帝王​の​名​で​出さ​れ​た​法令​は​無効​に​でき​ませ​ん。(ダニ 6:12,15)それ​で​王​は​エステル​と​モルデカイ​に,新しい​法令​を​制定​する​権限​を​与え​ます。こう​し​て二​番​目​の​布告​が​出さ​れ,ユダヤ​人​に​自衛​権​が​与え​られ​ます。馬​に​乗っ​た​使者​たち​が​帝国​各地​へ​急ぎ,この​良い​知らせ​を​ユダヤ​人​に​伝え​ます。多く​の​ユダヤ​人​の​心​に​希望​の​灯​が​ともり​まし​た。(エス 8:3‐16)広大​な​帝国​の​各地​に​いる​ユダヤ​人​は​戦闘​に​備え​て​武装​し​た​こと​でしょ​う。この​新た​な​勅令​が​なけれ​ば​でき​なかっ​た​こと​です。と​は​いえ,もっと​重要​な​の​は,「万軍​の​エホバ」が​ご自分​の​民​と​共​に​おら​れる​か,と​いう​こと​です。―サム​一 17:45

エステル​と​モルデカイ​は​ペルシャ​帝国​の​ユダヤ​人​に​布告​を​出し​た

26,27. (イ)エホバ​は​ご自分​の​民​に,敵​たち​に​対する​どれ​ほど​大々的​で​徹底​的​な​勝利​を​お与え​に​なり​まし​た​か。(ロ)ハマン​の​息子​たち​が​殺さ​れ​た​こと​に​より,どんな​預言​が​成就​し​まし​た​か。

26 ついに​その​日​が​来​ます。神​の​民​は​用意​が​でき​て​い​ます。今や​大勢​の​ペルシャ​の​役人​たち​も​味方​です。新た​な​首相​と​なっ​た​ユダヤ​人​モルデカイ​の​こと​ が​知れ渡っ​て​いる​から​です。エホバ​は​ご自分​の​民​に​大々的​な​勝利​を​お与え​に​なり​ます。敵​たち​に​徹底​的​な​敗北​を​もたらす​こと​に​より,ご自分​の​民​を​報復​攻撃​から​保護​さ​れ​た​に​違いあり​ませ​ん。 *エス 9:1‐6

27 悪人​ハマン​の​10​人​の​息子​が​生き​て​いる​限り,モルデカイ​は​ハマン​の​家​を​安全​に​管理​する​こと​が​でき​ませ​ん。それで,息子​たち​も​殺さ​れ​ます。(エス 9:7‐10)こう​し​て​聖書​預言​が​成就​し​まし​た。神​は,ご自分​の​民​の​邪悪​な​敵​と​なっ​た​アマレク​人​の​完全​な​滅び​を​予告​し​て​おら​れ​た​から​です。(申 25:17‐19)ハマン​の​息子​たち​は,断罪​さ​れ​た​アマレク​人​の​最後​の​生き残り​だっ​た​よう​です。

28,29. (イ)エステル​と​その​民族​が​戦い​を​行なう​こと​が​エホバ​の​ご意志​だっ​た​の​は​なぜ​です​か。(ロ)現代​の​わたしたち​に​とっ​て,エステル​の​模範​が​大きな​励み​に​なる​の​は​なぜ​です​か。

28 エステル​は​まだ​若かっ​た​の​に,戦い​や​処刑​に​関する​勅令​を​扱う​こと​など,大変​な​重荷​を​負わ​なけれ​ば​なり​ませ​ん​でし​た。それ​は​容易​な​こと​で​は​なかっ​た​はず​です。しかし,エホバ​の​ご意志​に​よれ​ば,神​の​民​は​滅び​ない​よう​に​守ら​れる​必要​が​あり​まし​た。イスラエル​国民​は,全​人類​の​唯一​の​希望​の​源​で​ある​約束​の​メシア​を​生み出す​こと​に​なっ​て​い​た​から​です。(創 22:18)メシア​で​ある​イエス​は​地​に​来​た​時,ご自分​の​追随​者​たち​が​実際​の​戦い​に​加わる​こと​を​禁じ​まし​た。現代​の​神​の​僕​たち​は,その​こと​を​うれしく​思っ​て​い​ます。―マタ 26:52

29 と​は​いえ,クリスチャン​は​霊的​な​戦い​を​行なっ​て​い​ます。サタン​は​以前​に​も​増し​て,エホバ​神​へ​の​信仰​を​打ち壊そ​う​と​躍起​に​なっ​て​い​ます。コリント​第​二 10:3,4を​読む。エステル​の​模範​は​大きな​励み​に​なり​ます。わたしたち​も​エステル​と​同じ​よう​に,賢く​辛抱強く​人々​を​説得​し,勇気​を​示し,無私​の​気持ち​から​進ん​で​神​の​民​の​ため​に​行動​する​こと​に​より,信仰​を​表わす​こと​が​でき​ます​よう​に。

^ 26節 王​は,ユダヤ​人​が​敵​たち​を​征服​し​終える​ため​に​もう​1​日​戦う​こと​を​許し​まし​た。(エス 9:12‐14)現代​で​も​ユダヤ​人​は​その​勝利​を​記念​し​て,毎年​アダル​の​月(2​月​後半​から​3​月​前半​に​相当)に​プリム​と​いう​祭り​を​行なっ​て​い​ます。プリム​と​いう​名称​は,ハマン​が​イスラエル​を​滅ぼそ​う​と​し​て​投げ​た​くじ(プル)に​由来​し​ます。