1. アダム​と​エバ​と​その​家族​が​エデン​の​園​に​入る​こと​が​でき​なかっ​た​の​は​なぜ​です​か。アベル​は​どんな​こと​を​切​に​願っ​て​い​まし​た​か。

アベル​は,自分​の​羊​の​群れ​が​丘​の​斜面​で​のんびり​と​草​を​はん​で​いる​の​を​眺め​て​い​ます。羊​たち​の​はるか​向こう​に​は,かすか​に​光る​もの​が​見え​ます。そこ​に​は,燃える​剣​の​刃​が​絶え​ず​回転​し​て​い​て,エデン​の​園​へ​の​道​を​ふさい​で​いる​こと​を​アベル​は​知っ​て​い​ます。アベル​の​両親​は​かつて​そこ​に​住ん​で​い​まし​た​が,今​で​は​両親​も​その​子ども​たち​も​中​に​入る​こと​が​でき​ませ​ん。アベル​は,髪​に​夕方​の​そよ風​を​感じ​ながら,空​を​見上げ​て​創造​者​の​こと​を​考え​ます。人間​と​神​と​の​間​に​生じ​た​亀裂​は,いつか​修復​さ​れる​の​でしょ​う​か。アベル​は,そう​なる​こと​を​切​に​願っ​て​い​ます。

2‐4. どんな​意味​で,アベル​は​わたしたち​に​語っ​て​いる​と​言え​ます​か。

2 アベル​は​今日​あなた​に​語りかけ​て​い​ます。その​声​が​聞こえ​ます​か。『聞こえる​わけ​が​ない』と​思う​か​も​しれ​ませ​ん。なにしろ,アダム​の​2​番​目​の​息子​だっ​た​アベル​は​ずっ​と​昔​に​亡くなっ​て​おり,その​遺体​は​塵​に​なっ​て​ほぼ​6,000​年​に​なる​から​です。聖書​は,「死ん​だ​者​に​は​何​の​意識​も​な(い)」と​教え​て​い​ます。(伝 9:5,10)さらに,アベル​の​言葉​は​一つ​も​聖書​に​記録​さ​れ​て​い​ませ​ん。では,どの​よう​に​し​て​語る​こと​が​できる​の​でしょ​う​か。

3 霊感​の​もと​に​使徒​パウロ​は,アベル​に​つい​て,「それ​に​よっ​て,彼​は​死ん​だ​と​は​いえ​なお​語っ​て​いる」と​述べ​て​い​ます。ヘブライ 11:4を​読む。何​に​よっ​て​語っ​て​いる​の​でしょ​う​か。信仰​に​よっ​て​です。アベル​は,信仰​を​培っ​た​最初​の​人​で​あり,その​優れ​た​特質​を​非常​に​力強く​実証​し​まし​た。それゆえに,今日​で​も​アベル​の​模範​は​生き​て​おり,価値​ある​もの​です。わたしたち​が​アベル​の​信仰​から​学び,それ​に​倣う​よう​努める​なら,アベル​に​関する​記録​は,生き生き​と​心​に​響く​仕方​で​わたしたち​に​語っ​て​いる​こと​に​なり​ます。

4 聖書​中​に​は​アベル​に​関する​記述​が​ほんの​少し​しか​あり​ませ​ん​が,それでも​アベル​と​その​信仰​に​関し​て​学べる​こと​が​あり​ます。考え​て​み​ましょ​う。

 世​の​基​が​置か​れ​た​時代​に​成長​する

5. イエス​は​アベル​を「世​の​基​が​置か​れ(た)」こと​と​関連づけ​まし​た​が,それ​に​は​どんな​意味​が​あり​まし​た​か。(脚注​を​参照。)

5 アベル​は,人類​史​の​最​初期​に​生ま​れ​まし​た。後​に​イエス​は,アベル​を「世​の​基​が​置か​れ(た)」こと​と​関連づけ​まし​た。ルカ 11:50,51を​読む。その​世​と​は,罪​から​請け戻さ​れる​見込み​の​ある​人々​の​世,と​いう​意味​だっ​た​よう​です。アベル​は,人間​と​し​て​存在​する​よう​に​なっ​た​4​番​目​の​人​でし​た​が,神​が​請け戻し​可能​と​ご覧​に​なっ​た​中​で​は​最初​の​人​だっ​た​と​思わ​れ​ます。 * ですから,アベル​が​見倣える​よう​な​人​の​い​ない​中​で​成長​し​た​こと​は​明らか​です。

6. アベル​の​両親​は​どんな​人​たち​でし​た​か。

6 人間​家族​は,誕生​し​て​間​も​ない​に​も​かかわら​ず,悲惨​な​状況​に​陥り​まし​た。アベル​の​両親​アダム​と​エバ​は,容姿​端麗​で​活力​に​満ち​て​い​た​こと​でしょ​う。しかし,すでに​人生​の​脱落​者​と​なっ​て​おり,その​こと​を​自覚​し​て​い​まし​た。かつて​は,とこしえ​に​生きる​見込み​の​ある​完全​な​人間​でし​た​が,エホバ​神​に​反逆​し​た​ため​に,エデン​の​園​に​あっ​た​パラダイス​の​住まい​から​追放​さ​れ​まし​た。自分​たち​の​欲望​を,他​の​あらゆる​事柄​より​も​優先​し,子孫​の​こと​さえ​顧み​なかっ​た​結果,完全​さ​と​とこしえ​の​命​を​失っ​た​の​です。―創 2:15–3:24

7,8. エバ​は​カイン​を​産ん​だ​時,何​と​言い​まし​た​か。その​際,どんな​こと​を​考え​て​い​た​か​も​しれ​ませ​ん​か。

7 アダム​と​エバ​は,園​の​外​で​暮らす​よう​に​なり,生き​て​ゆく​こと​の​難しさ​に​気づき​まし​た。それでも,最初​の​子​が​生ま​れ​た​時,二​人​は​その​子​を​カイン​つまり 「産み出さ​れ​た​もの」と​名づけ,エバ​は「エホバ​の​助け​で​ひとり​の​男子​を​産み出し​た」と​言い​まし​た。エバ​は,エホバ​が​エデン​の​園​で​なさっ​た​約束​の​こと​を​考え​て​い​た​の​か​も​しれ​ませ​ん。その​約束​と​は,女​が「胤」つまり​子孫​を​産み出し,その​胤​が​いつ​の​日​か,アダム​と​エバ​を​神​から​離反​さ​せ​た​邪悪​な​者​を​滅ぼす,と​いう​予告​でし​た。(創 3:15; 4:1)エバ​は,自分​が​その​預言​に​出​て​くる​女​で​あり,カイン​が​その​約束​さ​れ​た「胤」で​ある,と​思っ​た​の​でしょ​う​か。

8 そう​だ​と​し​たら,それ​は​大きな​間違い​でし​た。また,エバ​と​アダム​が​その​よう​な​考え​を​成長​し​て​ゆく​カイン​に​植えつけ​た​と​すれ​ば,カイン​は​不​完全​さ​ゆえに​ますます​誇り高ぶる​よう​に​なっ​た​こと​でしょ​う。やがて​エバ​は​二​人​目​の​子​を​産み​まし​た​が,その​息子​に​つい​て​は​カイン​の​時​の​よう​な​大げさ​な​言葉​を​何​も​述べ​て​い​ませ​ん。アダム​と​エバ​は​その​子​を​アベル​と​名づけ​まし​た。その​名​に​は,「呼気」もしくは「むなしさ」と​いう​意味​が​ある​よう​です。(創 4:2)そんな​名前​を​付け​た​の​は,二​人​が​その​子​に​あまり​期待​を​せ​ず,カイン​に​対する​ほど​の​望み​を​かけ​なかっ​た​から​でしょ​う​か。わたしたち​に​は​推測​する​こと​しか​でき​ませ​ん。

9. 親​で​ある​人​は,最初​の​二親​から​どんな​こと​を​学べ​ます​か。

9 親​で​ある​人​は,最初​の​二親​から​多く​の​こと​を​学べ​ます。自分​の​言動​に​よっ​て,誇り​や​野心​や​利己​心​を​子ども​に​植えつけ​て​しまう​でしょ​う​か。それとも,エホバ​神​を​愛し,神​と​の​友情​を​育む​よう​教える​でしょ​う​か。残念​ながら,アダム​と​エバ​は​親​と​し​て​の​責任​を​果たし​ませ​ん​でし​た。と​は​いえ,その​子孫​に​は​希望​が​あり​ます。

アベル​は​信仰​を​培っ​た ― どの​よう​に?

10,11. カイン​と​アベル​は​どんな​仕事​を​する​よう​に​なり​まし​た​か。アベル​は​どんな​特質​を​培い​まし​た​か。

10 男​の​子​二​人​が​成長​する​に​つれ,アダム​は,家族​を​養う​ため​の​仕事​が​できる​よう​息子​たち​を​訓練​し​た​こと​でしょ​う。カイン​は​農耕​を​行ない,アベル​は​羊​を​飼う​よう​に​なり​まし​た。

11 しかし,アベル​は​はるか​に​重要​な​こと​を​し​まし​た。後​に​パウロ​が​書い​た​よう​に,長年​に​わたっ​て,信仰​と​いう​優れ​た​特質​を​培っ​た​の​です。考え​て​も​み​て​ください。アベル​に​は,模範​に​できる​人間​など​一​人​も​い​ませ​ん​でし​た。では,エホバ​神​に​対する​信仰​を​どの​よう​に​し​て​培っ​た​の​でしょ​う​か。アベル​が​強い​信仰​を​築く​うえ​で​助け​と​なっ​た​と​思わ​れる​三つ​の​事柄​を​考え​ましょ​う。

12,13. アベル​が​信仰​を​育む​うえ​で,エホバ​の​創造​物​を​観察​する​こと​は​どの​よう​に​助け​に​なっ​た​か​も​しれ​ませ​ん​か。

12 エホバ​の​創造​物。エホバ​が​地面​を​のろわ​れ​た​結果,農耕​を​妨げる​いばら​や​あざみ​が​生じる​よう​に​なり​まし​た。それでも​地​は,アベル​の​家族​が​生き​て​ゆく​の​に​十分​な​食べ物​を​産出​し​まし​た。また,鳥​や​魚​を​含め​動物​は​のろわ​れ​て​おら​ ず,山​や​湖,川​や​海,空​や​雲,太陽​や​月​や​星​も,のろわ​れ​て​い​ませ​ん​でし​た。アベル​は,すべて​の​物​を​創造​さ​れ​た​エホバ​神​の​深い​愛,知恵,善良​さ​の​証拠​を,至る所​で​目​に​し​まし​た。ローマ 1:20を​読む。そう​し​た​創造​物​に​つい​て​感謝​の​うち​に​黙想​する​こと​で,アベル​の​信仰​は​強まっ​た​に​違いあり​ませ​ん。

アベル​は​創造​物​の​うち​に,愛​ある​創造​者​に​対する​信仰​を​築く​ため​の​強固​な​土台​を​見いだし​た

13 アベル​は​時間​を​割い​て​霊的​な​事柄​を​思い巡らし​た​こと​でしょ​う。アベル​が​羊​の​群れ​を​牧し​て​いる​様子​を​想像​し​て​み​て​ください。羊飼い​の​生活​に​は,徒歩​で​の​長​距離​の​移動​が​付きもの​です。青々​と​し​た​草​や,最良​の​水場​や,最も​安全​な​休み場​を​絶え​ず​求め,おとなしい​羊​たち​を​導い​て,丘​を​越え,谷間​を​進み,川​を​渡り​ます。神​の​創造​物​の​中​で​も,羊​は​特に​無力​に​思え​ます。人間​に​導か​れ​保護​さ​れる​必要​が​ある​もの​と​し​て​造ら​れ​た​か​の​よう​です。アベル​は,自分​も,人間​より​はるか​に​賢く​力​の​ある​方​に​導か​れ,保護​さ​れ,世話​さ​れる​必要​が​ある,と​いう​こと​を​理解​し​た​か​も​しれ​ませ​ん。きっと,そう​し​た​思い​を​祈り​の​中​で​神​に​話し,ますます​信仰​が​育ま​れ​て​いっ​た​こと​でしょ​う。

14,15. アベル​は​エホバ​の​約束​に​関連​し​て,どんな​こと​を​黙想​し​た​か​も​しれ​ませ​ん​か。

14 エホバ​の​約束。アダム​と​エバ​は,自分​たち​が​エデン​の​園​から​追い出さ​れる​原因​と​なっ​た​出来事​に​つい​て,息子​たち​に​話し​た​に​違いあり​ませ​ん。ですから,アベル​に​は​黙想​する​事​が​たくさん​あり​まし​た。

15 エホバ​は,地面​が​のろわ​れる,と​言わ​れ​まし​た。アベル​は,その​言葉​どおり,いばら​や​あざみ​が​生える​の​を​目​に​し​まし​た。エホバ​は​また,エバ​が​妊娠​と​出産​の​際​に​苦痛​を​経験​する​こと​を​予告​なさい​まし​た。アベル​は​母親​が​出産​し​た​時​に,その​とおり​に​なっ​た​こと​を​知っ​た​でしょ​う。エホバ​は,エバ​が​夫​の​愛​や​関心​を​異常​な​まで​に​求める​よう​に​なる​こと,その​一方​で​アダム​が​エバ​を​支配​する​よう​に​なる​こと​も​予見​さ​れ​まし​た。アベル​は,その​予見​が​悲しい​現実​と​なる​の​を​目​の​当たり​に​し​まし​た。どの​場合​も,エホバ​の​言葉​は​全く​信頼​できる​もの​でし​た。ですから,エデン​で​始まっ​た​悪​が​いつ​の​日​か「胤」つまり​子孫​に​よっ​て​正さ​れる,と​いう​神​の​約束​に​信仰​を​置く,確か​な​根拠​が​あっ​た​の​です。―創 3:15‐19

16,17. エホバ​に​仕える​ケルブ​たち​から,アベル​は​何​を​学ん​だ​か​も​しれ​ませ​ん​か。

 16 エホバ​の​僕​たち。アベル​は​人間​家族​の​中​で​良い​模範​を​見いだせ​ませ​ん​でし​た​が,理知​ある​被​造物​で​当時​地上​に​い​た​の​は,人間​だけ​で​は​あり​ませ​ん。エホバ​は,アダム​と​エバ​を​エデン​の​園​から​追放​し​た​時,二​人​と​その​子孫​が​そこ​に​決して​入れ​ない​よう​に​され​まし​た。園​の​入口​を​守る​ため,非常​に​高位​の​み使い​で​ある​ケルブ​たち​と,回転​し​つづける​剣​の​燃える​刃​と​を​配置​さ​れ​た​の​です。―創世記 3:24を​読む。

17 子ども​時代​の​アベル​の​目​に,ケルブ​たち​は​どの​よう​に​映っ​た​でしょ​う​か。肉体​を​備え​て​現われ​た​その​姿​は,ものすごく​強​そう​に​見え​た​こと​でしょ​う。また,常​に​燃え​ながら​回転​する「剣」を​見​て,畏敬​の​念​を​抱い​た​か​も​しれ​ませ​ん。アベル​は,ケルブ​たち​が​退屈​し​て​自分​の​持ち場​を​離れる​の​を​見​た​こと​が​あっ​た​でしょ​う​か。いいえ,それら​理知​ある​強力​な​者​たち​は,昼​も​夜​も,来る年​も​来る年​も,何十​年​も​そこ​に​い​まし​た。それ​で​アベル​は,エホバ​神​に​義​なる​忠実​な​僕​たち​が​いる​こと​を​知り,ケルブ​たち​が​エホバ​へ​の​忠節​や​従順​を​示す​の​を​見​まし​た。それ​は​自分​の​家族​に​は​見​られ​ない​特質​でし​た。アベル​の​信仰​は,ケルブ​たち​の​模範​に​よっ​て​強め​られ​た​に​違いあり​ませ​ん。

アベル​は​生涯​中​ずっ​と,ケルブ​たち​が​エホバ​の​忠実​で​従順​な​僕​で​ある​の​を​見る​こと​が​でき​た

18. 今日,信仰​を​築く​ため​の​十分​な​土台​が​ある​と​言える​の​は​なぜ​です​か。

18 アベル​は,エホバ​が​創造​物​や​約束​や​み使い​たち​の​模範​を​通し​て​ご自身​に​つい​て​明らか​に​し​て​おら​れる​事柄​すべて​を​黙想​する​こと​に​より,信仰​を​強め​て​ゆき​まし​た。確か​に,アベル​の​模範​は​わたしたち​に​語っ​て​い​ます。特に​若い​人​は,家族​が​どう​で​あれ​エホバ​神​に​対する​真​の​信仰​を​培える,と​いう​こと​を​知っ​て,心強く​ 感じる​か​も​しれ​ませ​ん。わたしたち​は,周囲​の​至る所​に​創造​の​驚異​を​見る​こと​が​でき​ます。聖書​全巻​を​読む​こと​も,信仰​の​模範​を​たくさん​見る​こと​も​でき​ます。今日,信仰​を​築く​ため​の​十分​な​土台​が​ある​の​です。

アベル​の​ささげ​た​犠牲 ― それ​が​勝っ​て​い​た​の​は​なぜか

19. アベル​は​やがて​どんな​奥深い​真理​を​理解​する​よう​に​なり​まし​た​か。

19 アベル​は,エホバ​に​対する​信仰​が​強く​なる​に​つれ,どう​すれ​ば​その​信仰​を​行動​で​示せる​だろ​う​か​と​考え​ます。しかし,単なる​人間​が​宇宙​の​創造​者​に​ささげ​られる​もの​など​ある​の​でしょ​う​か。神​が​人間​から​の​贈り物​や​助け​を​必要​と​し​て​おら​れ​ない​こと​は​明らか​です。やがて​アベル​は,奥深い​真理​を​理解​する​よう​に​なり​ます。正しい​動機​で​自分​の​持つ​最良​の​もの​を​ささげる​なら,愛情​深い​父​エホバ​は​喜ん​で​くださる,と​いう​真理​です。

アベル​は​信仰​を​抱い​て​犠牲​を​ささげ​た​が,カイン​は​そう​で​は​なかっ​た

20,21. カイン​と​アベル​は​それぞれ​どんな​捧げ物​を​し​まし​た​か。エホバ​は​どの​よう​に​お応え​に​なり​まし​た​か。

20 アベル​は,自分​の​羊​の​群れ​の​中​から​数​匹​を​ささげる​準備​を​し​ます。最良​の​初子​で,その​一番​良い​ところ​を​選び​ます。一方​カイン​も,神​の​祝福​と​好意​を​求め​て,作物​の​中​から​捧げ物​を​用意​し​ます。しかし,アベル​と​同じ​動機​から​で​は​あり​ませ​ん。その​違い​は,二​人​が​捧げ物​を​差し出し​た​時​に​明らか​に​なり​ます。

21 カイン​と​アベル​は​二​人​と​も,祭壇​と​火​を​用い​て​捧げ物​を​し​た​よう​です。おそらく,当時​地上​で​唯一​エホバ​を​代表​し​て​い​た​ケルブ​たち​の​見える​所​で,ささげ​た​の​でしょ​う。エホバ​は​それ​に​お応え​に​なり​ます。「エホバ​は​アベル​と​その​捧げ物​と​を​好意​を​もっ​て​見​て​おら​れ​た」と​記さ​れ​て​い​ます。(創 4:4)神​が​好意​を​どの​よう​に​示さ​れ​た​の​か​に​つい​て,聖書​は​何​も​述べ​て​い​ませ​ん。

22,23. エホバ​が​アベル​の​捧げ物​に​好意​を​持た​れ​た​の​は​なぜ​です​か。

22 エホバ​は,なぜ​アベル​の​捧げ物​に​好意​を​持た​れ​まし​た​か。それ​自体​が​好ましい​もの​だっ​た​から​でしょ​う​か。アベル​は,生き​て​呼吸​する​動物​の​貴重​な​命​の​血​を​流し​て,ささげ​まし​た。そう​し​た​犠牲​に​価値​が​ある​こと​を​知っ​て​い​た​の​でしょ​う​か。その​時​から​何​世紀​も​後​に,神​は,ご自分​の​完全​な​子​の​犠牲​を​表わす​ため​に,きず​の​ない​子羊​の​犠牲​を​用い​まし​た。神​の​子​は「神​の​子羊」と​し​て,罪​の​ない​自分​の​血​を​流す​こと​に​なっ​た​の​です。(ヨハ 1:29。出 12:5‐7)しかし,そう​し​た​事柄​の​多く​は,アベル​が​知る​こと​も​理解​する​こと​も​でき​ない​もの​でし​た。

23 確か​な​の​は,アベル​が​自分​の​持つ​まさに​最良​の​もの​を​ささげ​た,と​いう​こと​です。エホバ​は,その​捧げ物​だけ​で​なく​アベル​自身​の​こと​も​好意​を​もっ​て​ご覧​に​なり​まし​た。アベル​が​エホバ​に​対する​愛​と​純粋​な​信仰​に​動かさ​れ​て​行動​し​た​から​です。

24. (イ)カイン​の​捧げ​物​自体​が​間違っ​て​い​た​わけ​で​は​ない,と​言える​の​なぜ​です​か。(ロ)カイン​は,どんな​点​で​今日​の​多く​の​人​と​似​て​い​ます​か。

 24 カイン​の​場合​は​違い​まし​た。エホバ​は「カイン​と​その​捧げ物​と​は​少し​も​好意​を​もっ​て​ご覧​に​なら​なかっ​た」の​です。(創 4:5)捧げ​物​自体​が​間違っ​て​い​た​わけ​で​は​あり​ませ​ん。後​の​時代​に​神​の​律法​は,地​の​産物​を​ささげる​こと​を​認め​て​いる​から​です。(レビ 6:14,15)聖書​は,カイン​の「業​が​邪悪」で​あっ​た​と​述べ​て​い​ます。ヨハネ​第​一 3:12を​読む。カイン​は,今日​の​多く​の​人​と​同様,神​に​専心​し​て​いる​よう​に​見えれ​ば​十分​だ,と​考え​た​よう​です。カイン​が​エホバ​へ​の​真​の​信仰​や​愛​を​持っ​て​い​なかっ​た​こと​は,すぐ​行動​に​表われ​ます。

25,26. エホバ​は​カイン​に​何​と​警告​なさい​まし​た​か。カイン​は​どう​し​まし​た​か。

25 カイン​は,自分​が​エホバ​の​好意​を​得​て​い​ない​こと​に​気づく​と,アベル​の​模範​から​学ぼ​う​と​する​どころ​か,弟​を​ひどく​憎む​よう​に​なり​ます。エホバ​は,カイン​の​心​の​中​に​生じ​て​いる​こと​を​見​て,辛抱強く​諭さ​れ​ます。そのまま​で​は​重大​な​罪​を​犯す​こと​に​なる​と​警告​し,歩み​を​改める​なら「高め​られる」すなわち​神​の​是認​を​受け​られる​と​述べ,希望​を​差し伸べ​た​の​です。―創 4:6,7

26 カイン​は,神​の​警告​を​無視​し​ます。アベル​を​野原​に​誘い出し,疑う​こと​なく​付い​て​来​た​弟​に​襲いかかっ​て​殺害​し​た​の​です。(創 4:8)ですから,ある​意味​で​アベル​は,宗教​的​迫害​の​最初​の​犠牲​者,最初​の​殉教​者​と​なり​まし​た。アベル​は​死に​まし​た​が,彼​の​物語​は​決して​終わっ​た​わけ​で​は​あり​ませ​ん。

27. (イ)アベル​が​復活​し​て​くる​と​確信​できる​の​は​なぜ​です​か。(ロ)どう​すれ​ば,将来​アベル​に​会え​ます​か。

27 比喩​的​な​意味​で,アベル​の​血​は​エホバ​神​に​向かっ​て,復しゅう​や​公正​を​求め,叫び​まし​た。それ​で​神​は,邪悪​な​カイン​を​その​悪行​ゆえに​処罰​し,公正​が​なさ​れる​よう​に​され​まし​た。(創 4:9‐12)さらに​重要​な​点​と​し​て,アベル​の​信仰​に​関する​記録​は,今日​の​わたしたち​に​語っ​て​い​ます。アベル​の​人生​は​100​年​ほど​で,当時​と​し​て​は​短い​もの​でし​た​が,有意義​な​一生​でし​た。最期​まで,自分​は​天​の​父​エホバ​から​愛さ​れ​是認​さ​れ​て​いる,と​自覚​し​て​い​まし​た。(ヘブ 11:4)ですから,アベル​は​エホバ​の​無限​の​記憶​の​中​で​守ら​れ​て​い​て,地上​の​楽園​に​復活​し​て​くる,と​確信​でき​ます。(ヨハ 5:28,29)その​時​あなた​も​そこ​に​い​て​アベル​に​会える​でしょ​う​か。アベル​の​語る​こと​を​聴い​て,その​優れ​た​信仰​に​倣お​う​と​決意​し​て​いる​なら,きっと​会える​でしょ​う。

^ 5節 「世​の​基​が​置か​れ(た)」と​いう​表現​は,種​を​下​に​投げる​と​いう​考え​が​含ま​れ,生殖​を​暗示​し​て​いる​ゆえ​に,人間​の​最初​の​子孫​と​関係​が​あり​ます。しかし​イエス​が,一番​最初​に​生ま​れ​た​カイン​で​は​なく​アベル​を「世​の​基​が​置か​れ(た)」こと​と​結びつけ​た​の​は​なぜ​でしょ​う​か。カイン​の​決定​と​行動​が​エホバ​神​に​対する​故意​の​反逆​に​相当​し​た​から​です。カイン​は​両親​と​同様,復活​する​こと​も​請け戻さ​れる​こと​も​ない,と​考え​られ​ます。