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祖父母ともっと親しくなるべきなのはなぜだろう

祖父母ともっと親しくなるべきなのはなぜだろう

若い人は尋ねる…

祖父母ともっと親しくなるべきなのはなぜだろう

「母と私がうまく話し合えなかった時,おばあちゃんがわたしたちを助けてくれたので話し合えるようになりました」。―ダマリス。

「歴史を通じて,祖父母は,家族が一致したり家族の伝統を伝えたりするための要となってきた」と,アーサー・コーンヘイバー博士は自著「おじいちゃん,おばあちゃんパワー」(英語)で述べ,こう付け加えています。「教師,親の援助者,歴史家,養育者,相談相手,さらにはエンターテイナーとしての祖父母の心理的・社会的・霊的働きは,何にもまして重要だった。このように祖父母が多方面にわたって果たす大きな役割を,社会が一体なぜ無視するようになったのか不思議に思う」。

昔,祖父母は家族生活の土台になっていました。エホバ神の崇拝者の場合は特にそうでした。聖書はイスラエル人に,年配の人を尊敬し,重んじるようにと命じていたのです。(レビ記 19:32)祖父母は,とりわけ誉れに値すると考えられていました。―テモテ第一 5:4

残念なことに時代は変わりました。家族が遠く離れて暮らすケースが多いため,祖父母とほとんど接触のない若者は少なくありません。考え方も変わりました。世界の多くの場所で年配の人々 ― 親族を含む ― は,もはやしかるべき敬意をもって扱われていません。(テモテ第二 3:1-3)“ジェネレーション・ギャップ[英語字義,世代の溝]”と呼ばれていたものは,今では大きな裂け目となっているようです。祖父母のことを古くさくて時代後れとみなす若者は少なくありません。彼らには,今日の若者が直面する圧力や問題を祖父母が理解できるとは思えないのです。

あなたもそう感じているなら,ぜひ考え直してみてください。祖父母と親しくなることには大きな価値があるからです。祖父母が神を恐れる人である場合は特にそう言えます。祖父母と親しくなっていない人は,損をしていると言えるでしょう。なぜそう言えるのでしょうか。

知恵や助言の源

若者の中には,激しく揺れ動く青春時代に祖父母が避難所となってくれることに気づいた人は少なくありません。セブンティーン誌(英語)は次のように述べています。「問題に対処する際,普通,あなたと同じ悩みを抱えて四苦八苦している同年代の友達より,幾十年もの人生経験があるおじいさんやおばあさんのほうが助けになります。あなたや友達は人生最初の過渡期にあって苦悩していますが,祖父母は,そうした移行期を何度も乗り越えてきたのです。祖父母はたいてい,知恵がある上に頭も切れるのです」。聖書の中では同じようなことが何世紀も前にこう述べられていました。「白髪は,義の道に見いだされるとき,美の冠である」。―箴言 16:31

確かに,おじいさんやおばあさんが育った世の中と今の世の中はずいぶん違うかもしれません。しかし年配の人たちは,あなたが今闘っているのと全く同じ感情を何度も味わってきたのです。そうした感情を処理する点で,あなたはあまり経験がないかもしれませんが,これまで人生を歩んできたおじいさんやおばあさんは,そうした感情と上手に付き合えるようになっています。(箴言 1:4)「老人の中には知恵があるのではないか。長い日々には理解力が」と,義人ヨブは述べています。(ヨブ 12:12)ですから,平衡の取れた助言や励ましや支えを必要とする若者にとって,祖父母は本当に貴重な存在となることが多いのです。

例えばダマリスが母親と暮らす都会のアパートには祖母も住んでいました。ダマリスはこう述懐しています。「母と私がうまく話し合えなかった時,おばあちゃんが助けてくれたので話し合えるようになりました。おばあちゃんは,違った角度から物事を見るよう教えてくれたんです」。

アレクサンドリアという少女は,家族の引っ越しで転校せざるを得なかった時,同じような経験をしました。「新しい担任の先生は無神経で,時々ひどく腹を立てました」と言います。ですから,新しい学校になかなかなじめませんでした。しかし,祖母が力になってくれました。その状況に対してもっと積極的な見方をするよう励ましてくれたので,順応できるようになりました。「今は学校も担任の先生も好きです」と,アレクサンドリアは言います。

ブラジルのラファエルという若者は,高校を卒業して補足的な教育を受けた時に祖父母が助けになってくれたことを振り返り,「二人は,交わりのことや麻薬の問題を避ける方法など,いろいろとアドバイスしてくれました」と語っています。現在,ラファエルは全時間の福音宣明者として奉仕しています。

イーダ・ルシャンは,「変化する世における祖父母」という著書(英語)の中で,祖母としての自らの経験を語っています。「ある日,孫娘が電話をかけてきて,『おばあちゃん,友達から圧力をかけられているの。助けて』と言いました。クラスの一部の人たちが,孫に男の子たちとデートさせようとしていたのです。何人かの男の子から電話がかかってくるありさまでした」。孫が助けを求めたので,祖母はアドバイスを与えて必要な援助を差し伸べることができたわけです。あなたも,愛情深いおじいさんやおばあさんとの短い会話が真の精神的支えとなり得ることに気づくでしょう。

家族に病気や死といった重大事が起きた時には,祖父母が特に助けになってくれるものです。レイシーが父親を重い病気で亡くしたとき,対処できるよう祖母が助けになってくれました。「わたしたちは,それまでよりずっと親密になりました」とレイシーは言います。

独特の愛の絆

さらに祖父母とは,若者と親との間でときどき生じる緊張関係をあまり経験しないでしょう。どうしてでしょうか。一つには,祖父母と孫にはたいてい,独特の絆があるからです。聖書は,「年老いた者は孫を誇らしく思う」と述べています。―箴言 17:6,「今日の英語訳」。

また,「エホバの懲らしめと精神の規整とをもって」あなたを育ててゆく重い責任を負っているのは,祖父母ではなく親であることも忘れてはなりません。(エフェソス 6:4)祖父母は親ほど重い役目がないので,親よりも口うるさくないでしょう。また祖父母はふつう,家族を日々世話する責任や圧力に束縛されない身軽な立場にあります。そうしたストレスが比較的少ないため,あなたの必要にこたえたり,あなたに注意を払ったりしやすいのでしょう。17歳のトムは,祖父母が自分に関心を払ってくれたことを思い起こします。「通信簿が良いと,ちょっとした贈り物」をくれたものです。また,ピアノのレッスン代も払ってくれました。

もちろん,だれもが,そうした贈り物をできるわけではありません。それでも時々,あなたをほめたり,励ましたり,あなたの話によく耳を傾けたりして,関心を示してくださるでしょう。こうして,あなたとの間で強い友情の絆が生まれます。ダマリスは祖母についてこう語ります。「おばあちゃんといるとほっとします。いつも喜んで話を聞いてくれるので,どんな時でもおばあちゃんの所へ行って話ができます。わたしが訳の分からないことを言っても嫌がらずに聞いてくれるんです」。ジョナタスも同じように,祖父母と遠慮なく話せますし,重要なことを話し合う機会もあります。

交換する

祖父母はあなたに知恵や愛を与えることができる一方,あなたの若々しい活力や,あなたとの交わりは祖父母にとって益になります。どのようにでしょうか。祖父母の助けや支えになる方法は,おそらくたくさんあるでしょう。祖父母は多くの場合,体力が衰えてきています。病気と闘っている人もいるでしょう。ですから,買い物や家事の手伝いをするなら,心強く感じてもらえるに違いありません。

祖父母の中には配偶者に先立たれている人が少なくありません。ですから時おり寂しさを感じることがあります。あなたが積極的な関心を示すなら,寂しさと闘い,生きる意欲を持ち続けるよう大いに助けることができます。そうすることは,「祖父母に当然の報礼をしてゆく」ようにという聖書の命令に従う一つの方法です。「これは神のみ前で受け入れられることなのです」。―テモテ第一 5:4

祖父母と親しくなるなら確かに,自分の生活だけでなく,祖父母の生活も豊かになります。もしかすると,あなたはこれまでおじいさんやおばあさんとあまり親しくなかったかもしれません。親しくなろうと思っても,どこから始めてよいか分からないこともあるでしょう。祖父母が遠くに住んでいるとか,両親が別居か離婚をしているために,祖父母と疎遠になっているかもしれません。そうした状況にどう対処できるか,今後の記事には幾つかの実際的な提案が載せられます。

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祖父母は,良い聞き手となり,助言や支えを与えてくれる

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祖父母の助けになってください