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 第​7​章

少年は「エホバのみもとで成長していった」

少年は「エホバのみもとで成長していった」

1,2. どんな​状況​で​サムエル​は​イスラエル​の​民​に​語りかけ​まし​た​か。彼ら​を​悔い改め​させる​必要​が​あっ​た​の​は​なぜ​です​か。

サムエル​は,ギルガル​の​町​に​集まっ​た​民​の​顔​を​じっ​と​見​ます。預言​者​また​裁き人​と​し​て​何十​年​も​忠実​に​仕え​て​き​た​サムエル​が​民​を​召集​し​た​の​です。今​の​暦​で​言え​ば​5​月​か​6​月​に​当たり,すでに​乾期​に​入っ​て​い​ます。辺り​の​畑​で​は​黄金色​の​小麦​が​収穫​を​待っ​て​い​ます。群衆​は​押し黙っ​て​い​ます。サムエル​は​どう​すれ​ば​人々​の​心​を​動か​せる​でしょ​う​か。

2 民​は​事態​の​深刻​さ​を​理解​し​て​い​ませ​ん。自分​たち​を​支配​し​て​くれる​人間​の​王​を​しきり​に​求め​て​い​ます。自分​たち​の​神​エホバ​と​その​預言​者​に​甚だ​しく​不敬​な​態度​を​取っ​て​いる​こと​を​自覚​し​て​い​ませ​ん。実​の​ところ,王​で​ある​エホバ​を​退け​て​いる​の​です。サムエル​は​どう​すれ​ば​人々​を​悔い改め​させる​こと​が​できる​でしょ​う​か。

少年​時代​の​サムエル​から,悪い​影響​力​に​さらさ​れ​て​も​エホバ​へ​の​信仰​を​築く​こと​に​つい​て​多く​を​学べる

3,4. (イ)サムエル​が​自分​の​若かっ​た​時​の​こと​を​述べ​た​の​は​なぜ​です​か。(ロ)サムエル​の​信仰​の​模範​が​今日​の​わたしたち​に​とっ​て​有益​な​の​は​なぜ​です​か。

3 サムエル​は,「わたし​は,年老い​て​白髪​に​なり​まし​た」と​群衆​に​語り​ます。白髪​ゆえ​に,語る​言葉​に​いっそう​の​重み​が​あり​ます。そして​こう​続け​ます。「わたし​は ― 若い​時​から​今日​に​至る​まで​あなた方​の​前​を​歩ん​で​き​まし​た」。(サム​一 11:14,15; 12:2)年老い​た​と​は​いえ,若い​時​の​こと​を​まだ​鮮明​に​覚え​て​い​ます。少年​の​頃​に​下し​た​幾つ​も​の​決定​が​その​後​の​人生​を​方向づけ,サムエル​は​エホバ​神​へ​の​信仰​と​専心​の​生き方​を​貫い​て​き​まし​た。

4 サムエル​は,信仰​を​築い​て​保つ​よう​努力​し​なけれ​ば​なり​ませ​ん​でし​た。周囲​の​人々​が​不​信仰​で​不​忠節​で​ある​場合​が​少なく​なかっ​た​から​です。今日​の​わたしたち​も,信仰​を​築く​に​は​かなり​の​努力​が​求め​られ​ます。堕落​し​た​不​信仰​な​ 世​の​中​で​生活​し​て​いる​から​です。ルカ 18:8を​読む。では,サムエル​の​模範​から​何​を​学べる​か​考え​て​み​ましょ​う。まず,幼い​頃​の​サムエル​に​注目​し​ます。

「少年​と​し​て……エホバ​の​前​で​奉仕​し​て​い​た」

5,6. サムエル​は,普通​と​は​違う​どんな​子ども​時代​を​送り​まし​た​か。サムエル​の​両親​が​息子​は​シロ​で​世話​し​て​もらえる​と​確信​し​て​い​た​の​は​なぜ​です​か。

5 サムエル​は,普通​と​は​違う​子ども​時代​を​送り​まし​た。乳離れ​し​て​間​も​なく,おそらく​3​歳​と​少し​くらい​の​時​に,シロ​に​ある​エホバ​の​神聖​な​幕屋​で​奉仕​する​生活​を​始め​ます。シロ​は​郷里​ラマ​から​30​㌔​以上​離れ​た​所​に​あり​ます。両親​の​エルカナ​と​ハンナ​は​サムエル​を​特別​な​奉仕​の​ため​に​エホバ​に​ささげ,サムエル​は​生涯​に​わたる​ナジル​人​と​なり​まし​た。 * これ​は,サムエル​が​親​に​愛さ​れ​ず,捨て​られ​て​しまっ​た​と​いう​こと​でしょ​う​か。

6 決して​そう​で​は​あり​ませ​ん。両親​は​サムエル​が​シロ​で​世話​し​て​もらえる​こと​を​知っ​て​い​まし​た。きちんと​世話​が​なさ​れる​よう​大​祭司​エリ​が​取り計らっ​て​くれ​た​に​違いあり​ませ​ん。サムエル​は​エリ​の​そば​で​仕え​た​から​です。シロ​に​は,幕屋​に​関連​し​た​奉仕​を​する​女性​たち​も​い​まし​た。その​奉仕​は​組織​的​に​行なわ​れ​て​い​た​よう​です。―出 38:8。裁 11:34‐40

7,8. (イ)サムエル​の​両親​は​毎年,息子​に​どんな​愛情​深い​励まし​を​与え​まし​た​か。(ロ)親​で​ある​人​は​サムエル​の​両親​から​何​を​学べ​ます​か。

7 ハンナ​と​エルカナ​は,祈り​が​聞か​れ​て​授かっ​た​大切​な​最初​の​子​の​こと​を​忘れ​たり​は​し​ませ​ん。ハンナ​は​神​に​男​の​子​を​願い求め,その​子​を​生涯​に​わたる​神聖​な​奉仕​の​ため​に​ささげる​と​約束​し​まし​た。ハンナ​は​毎年,幕屋​に​行く​時​に,息子​が​そこ​で​の​奉仕​の​際​に​着る​新しい​そでなし​の​上着​を​持っ​て​行き​ます。少年​サムエル​は,その​訪問​を​楽しみ​に​し​て​い​た​こと​でしょ​う。幕屋​と​いう​特別​な​場所​で​エホバ​に​仕える​の​が​大きな​特権​で​ある​こと​を​両親​から​教え​られ,その​愛情​深い​励まし​と​導き​に​こたえ​て,すくすく​と​成長​し​て​いっ​た​に​違いあり​ませ​ん。

8 親​で​ある​人​は​ハンナ​と​エルカナ​から​多く​を​学べ​ます。子育て​に​おい​て,物質​的​な​事柄​を​重視​し,霊的​な​必要​を​おろそか​に​する​親​は​少なく​あり​ませ​ん。しかし,サムエル​の​両親​は​霊的​な​もの​を​第​一​に​し​まし​た。そして​それ​は,サムエル​が​どんな​大人​に​なる​か​に​大きな​影響​を​与え​まし​た。―箴言 22:6を​読む。

9,10. (イ)幕屋​は​どんな​所​でし​た​か。少年​サムエル​は​その​神聖​な​場所​に​つい​て​どう​感じ​て​い​まし​た​か。(脚注​を​参照。)(ロ)サムエル​に​は​どんな​務め​が​あり​まし​た​か。今日,若い​人​たち​は​サムエル​の​模範​に​どの​よう​に​倣え​ます​か。

9 少年​サムエル​が​シロ​の​周囲​の​丘​を​散策​し​て​いる​様子​を​思い描い​て​み​て​ ください。丘​の​上​から​シロ​の​町​と​その​下​に​広がる​谷​を​眺める​と,エホバ​の​幕屋​が​見え​ます。サムエル​の​心​に​は​喜び​と​誇らしい​気持ち​が​湧き上がっ​た​こと​でしょ​う。幕屋​は​まさに​神聖​な​場所​でし​た。 * 400​年​ほど​前​に​モーセ​の​指示​の​もと​に​造ら​れ​た​幕屋​は,全​世界​に​おける​エホバ​の​清い​崇拝​の​中心​だっ​た​の​です。

10 年若い​サムエル​は​幕屋​を​愛する​よう​に​なり​まし​た。後​に​こう​記し​て​い​ます。「サムエル​は,少年​と​し​て,亜麻​布​の​エフォド​を​まとい,エホバ​の​前​で​奉仕​し​て​い​た」。(サム​一 2:18)この​そでなし​の​簡素​な​衣​は,サムエル​が​幕屋​で​祭司​たち​の​手伝い​を​し​て​いる​こと​を​示す​もの​だっ​た​よう​です。サムエル​は​祭司​の​家系​の​者​で​は​あり​ませ​ん​でし​た​が,幕屋​の​中庭​に​通じる​戸​を​朝​ごと​に​開け​たり,老齢​の​エリ​に​仕え​たり​する​務め​を​与え​られ​て​い​まし​た。その​よう​な​誉れ​ある​務め​を​喜ん​で​果たして​い​た​純真​な​サムエル​は,やがて​思い悩む​よう​に​なり​ます。エホバ​の​家​で,ひどい​悪行​が​なさ​れ​て​い​た​の​です。

腐敗​し​た​人々​の​中​で​清さ​を​保つ

11,12. (イ)ホフニ​と​ピネハス​に​は,どんな​重大​な​欠陥​が​あり​まし​た​か。(ロ)ホフニ​と​ピネハス​は​幕屋​で,どんな​邪悪​で​腐敗​し​た​事柄​を​行なっ​て​い​まし​た​か。(脚注​を​参照。)

11 少年​サムエル​は,甚だ​し​い​悪​や​腐敗​を​目​に​し​ます。エリ​に​は​ホフニ​と​ピネハス​と​いう​二​人​の​息子​が​い​まし​た。サムエル​は​こう​記録​し​て​い​ます。「エリ​の​息子​たち​は​どう​し​よう​も​ない​者​たち​で​あっ​た。彼ら​は​エホバ​を​認め​なかっ​た」。(サム​一 2:12)ここ​で​述べ​られ​て​いる​二つ​の​点​は​関連​し​合っ​て​い​ます。ホフニ​と​ピネハス​は,エホバ​を​全く​意​に​介し​て​い​なかっ​た​ゆえ​に,「どう​し​よう​も​ない​者​たち」(字義​どおり​に​は「無​価値​の​子​ら」)だっ​た​の​です。彼ら​は​エホバ​の​義​の​規準​と​要求​を​何​と​も​思っ​て​い​ませ​ん​でし​た。二​人​の​他​の​罪​すべて​は,この​欠陥​から​生じ​た​もの​でし​た。

12 神​の​律法​に​は,祭司​の​務め​や​幕屋​で​犠牲​を​ささげる​手順​が​明記​さ​れ​て​い​まし​た。それ​に​は​もっとも​な​理由​が​あり​ます。そう​し​た​犠牲​は,罪​を​許す​ため​の​神​の​備え​を​表わし​て​い​た​の​です。罪​を​許さ​れ​た​人々​は​神​から​見​て​清く​なり,神​の​祝福​や​導き​を​受ける​こと​が​でき​まし​た。ところが,ホフニ​と​ピネハス​は,他​ の​祭司​たち​の​先頭​に​立っ​て,極めて​不敬​な​仕方​で​捧げ物​を​扱っ​て​い​まし​た。 *

13,14. (イ)誠実​な​人々​は,幕屋​で​の​邪悪​な​行ない​から​どんな​影響​を​受け​た​に​違いあり​ませ​ん​か。(ロ)エリ​は​大​祭司​と​し​て​も​父親​と​し​て​も​どの​よう​に​務め​を​怠り​まし​た​か。

13 少年​サムエル​は,この​よう​な​甚だ​し​い​権威​の​乱用​が​正さ​れ​ず​に​繰り返さ​れる​の​を​見​て,目​を​丸く​し​た​こと​でしょ​う。多く​の​人​が​霊的​な​慰め​や​力​を​得​たい​と​願っ​て​神聖​な​幕屋​に​やっ​て​来​ます​が,卑しめ​られ,傷つけ​られ,がっかり​し​て​去っ​て​行き​ます。その​中​に​は,貧しく​て​立場​の​低い,虐げ​られ​た​人々​も​い​ます。その​よう​な​光景​を​サムエル​は​何​度​も​見​た​でしょ​う。さらに​ホフニ​と​ピネハス​は,性​道徳​に​関する​エホバ​の​律法​を​無視​し,幕屋​で​仕える​女性​たち​と​関係​を​持っ​て​い​まし​た。サムエル​は,それ​を​知っ​て​どう​感じ​た​でしょ​う​か。(サム​一 2:22)エリ​に​何​と​か​し​て​ほしい​と​思っ​た​か​も​しれ​ませ​ん。

サムエル​は,エリ​の​息子​たち​の​悪い​行ない​を​見​て​思い悩ん​だ​に​違いない

14 事​を​正す​最適任​者​は​エリ​でし​た。大​祭司​と​し​て,幕屋​で​起き​て​いる​事柄​に​つい​て​責任​が​あり,父親​と​し​て,息子​たち​を​正す​義務​が​あり​ます。息子​たち​は,イスラエル​の​無数​の​人々​に​も​自分​たち​に​も​害​を​及ぼし​て​い​た​の​です。しかし​エリ​は,大​祭司​と​し​て​も​父親​と​し​て​も​務め​を​怠り,息子​たち​を​やんわり​と​弱々しく​たしなめる​だけ​です。サムエル​第​一 2:23‐25を​読む。息子​たち​に​は,はるか​に​強い​懲らしめ​が​必要​でし​た。死​に​値する​罪​を​犯し​て​い​た​から​です。

15. エホバ​は​エリ​に​どんな​強い​音信​を​伝え​まし​た​か。エリ​の​家族​は​その​警告​に​どう​反応​し​まし​た​か。

15 ついに​エホバ​は,「神​の​人」すなわち​名前​の​挙げ​られ​て​い​ない​預言​者​を​エリ​の​もと​に​遣わし,強い​裁き​の​音信​を​伝え​させ​ます。エホバ​は​エリ​に,「あなた​は……わたし​より​も​自分​の​子​ら​を​尊ん​で​いる」と​言わ​れ​ます。そして,エリ​の​邪悪​な​息子​たち​が​同じ​日​の​うち​に​死ぬ​こと​と,エリ​の​家族​が​大きな​苦しみ​を​味わい,祭司​の​家系​と​いう​恵ま​れ​た​立場​を​失う​こと​を​予告​なさい​ます。この​強烈​な​警告​を​与え​られ​て,エリ​の​家族​は​変わっ​た​でしょ​う​か。悔い改め​た​と​いう​記録​は​あり​ませ​ん。―サム​一 2:27–3:1

16. (イ)少年​サムエル​の​進歩​に​つい​て,どんな​こと​が​記録​さ​れ​て​い​ます​か。(ロ)あなた​は,そう​し​た​記録​の​どんな​点​に​心​温まる​もの​を​感じ​ます​か。

16 この​よう​な​腐敗​し​た​行ない​を​見聞き​し​て,少年​サムエル​は​どんな​影響​を​受け​た​でしょ​う​か。こう​し​た​暗い​記述​の​中​に​も,明るい​要素​と​し​て,サムエル​の​成長​と​進歩​の​様子​が​記録​さ​れ​て​い​ます。サムエル​第​一 2​章​18​節​に​は,サムエル​が​忠実​に「少年​と​し​て……エホバ​の​前​で​奉仕​し​て​い​た」と​あり​ます。年若く​て​も, 神​へ​の​奉仕​を​中心​に​し​た​生活​を​送っ​て​い​た​の​です。さらに​心​温まる​点​と​し​て,21​節に​は,「少年​サムエル​は​エホバ​の​みもと​で​成長​し​て​いっ​た」と​記さ​れ​て​い​ます。成長​する​に​つれ,天​の​父​と​の​絆​が​強まっ​て​いっ​た​の​です。そう​し​た​エホバ​と​の​親しい​個人​的​な​関係​は,あらゆる​腐敗​し​た​行ない​に​対する​確実​な​保護​と​なり​ます。

17,18. (イ)若い​クリスチャン​は,腐敗​し​た​行ない​を​見聞き​し​て​も,どの​よう​に​サムエル​に​倣え​ます​か。(ロ)サムエル​が​正しく​歩ん​だ​こと​は,どんな​こと​から​分かり​ます​か。

17 サムエル​は,『大​祭司​と​息子​たち​が​悪い​こと​を​し​て​いる​ん​だ​から,ぼく​も​好き​な​こと​を​し​て​いい​はず​だ』と​考える​こと​も​でき​た​でしょ​う。しかし,権威​を​持つ​人​を​含め​他​の​人​が​腐敗​し​た​事柄​を​行なっ​て​いる​と​し​て​も,それ​を​言い訳​に​し​て​罪​を​犯す​の​は​間違っ​て​い​ます。今日,多く​の​若い​クリスチャン​は,周囲​の​人々​が​悪い​手本​を​示し​て​い​て​も,サムエル​に​倣っ​て「エホバ​の​みもと​で​成長​し​て」い​ます。

18 その​よう​に​歩ん​だ​サムエル​は​どう​なり​まし​た​か。こう​記さ​れ​て​い​ます。「その​間​ずっ​と,少年​サムエル​は​ますます​大きく​なり,エホバ​の​見地​から​も,人々​の​見地​から​も​ますます​好ま​れる​よう​に​なっ​た」。(サム​一 2:26)サムエル​は​人々​から,少なく​と​も​正しい​見方​を​する​人​たち​から​好か​れ​まし​た。エホバ​も,忠実​に​歩む​この​少年​を​大切​に​され​まし​た。サムエル​は,シロ​で​続い​て​いる​すべて​の​悪​に​対し​て​神​が​行動​さ​れる​はず​だ​と​考え​た​に​違いあり​ませ​ん。しかし,いつ​行動​さ​れる​の​でしょ​う​か。ある​晩,その​疑問​の​答え​が​与え​られ​ます。

「お話し​ください。僕​は​聴い​て​おり​ます​から」

19,20. (イ)ある​晩,幕屋​で​サムエル​に​どんな​こと​が​起き​まし​た​か。(ロ)サムエル​は,どの​よう​に​エリ​に​接し​まし​た​か。音信​の​源​が​だれ​で​ある​か​を​どの​よう​に​し​て​知り​まし​た​か。

19 夜明け​前​で,辺り​は​まだ​暗く,天幕​の​大きな​ ともしび​の​明かり​が​揺らめい​て​い​ます。静けさ​の​中,サムエル​は​自分​の​名前​を​呼ぶ​声​を​聞き,エリ​に​呼ば​れ​た​と​思い​ます。エリ​は​非常​に​年老い​て​おり,目​も​ほとんど​見え​ませ​ん。サムエル​は​起き上がり,エリ​の​もと​に「走っ​て」行き​ます。エリ​の​必要​に​こたえ​よう​と​し​て​少年​が​はだし​で​駆け​て​行く​姿​を​思い描い​て​み​て​ください。敬意​を​こめ​て​親切​に​エリ​に​接する​態度​に​感心​さ​せ​られる​の​で​は​あり​ませ​ん​か。エリ​は,多く​の​罪​を​犯し​て​い​た​と​は​いえ,今​で​も​エホバ​の​大​祭司​でし​た。―サム​一 3:2‐5

20 サムエル​は​エリ​を​起こし​て,「はい,ここ​に​おり​ます。私​を​お呼び​に​なり​まし​た​の​で」と​言い​ます。しかし​エリ​は,呼ん​で​は​い​ない​から​戻っ​て​寝​なさい,と​言い​ます。ところが,同じ​こと​が​もう​一度,そして​さらに​もう​一度​起き​まし​た。ついに​エリ​は​事情​を​察し​ます。当時,エホバ​が​ご自分​の​民​に​幻​を​見せ​たり​預言​的​な​音信​を​伝え​たり​する​こと​は​まれ​に​なっ​て​い​まし​た。それ​も​当然​です。しかし​エリ​は,エホバ​が​再び​語っ​て​おら​れる​こと​に,しかも​この​少年​に​語りかけ​て​おら​れる​こと​に​気づき​ます。それで,戻っ​て​寝る​よう​指示​し,ふさわしい​答え方​を​教え​ます。サムエル​は​言わ​れ​た​とおり​に​し​ます。やがて「サムエル,サムエル!」と​いう​声​が​聞こえ,サムエル​は「お話し​ください。僕​は​聴い​て​おり​ます​から」と​答え​ます。―サム​一 3:1,5‐10

21. 今日,どの​よう​に​し​て​エホバ​の​声​を​聴く​こと​が​でき​ます​か。そう​する​こと​が​大切​な​の​は​なぜ​です​か。

21 こう​し​て​エホバ​は​シロ​に,ご自分​の​声​を​聴く​僕​を​持つ​こと​に​なり​まし​た。エホバ​の​声​を​聴く​こと​は,サムエル​の​生活​の​型​と​なり​まし​た。あなた​は​いかが​です​か。夜間​に​超​自然​の​声​が​聞こえ​て​くる​の​を​待つ​必要​など​あり​ませ​ん。今日,ある​意味​で,神​の​声​を​いつ​で​も​聴く​こと​が​でき​ます。全巻​そろっ​た​神​の​言葉 聖書​を​通し​て​聴く​こと​が​できる​の​です。神​の​声​を​聴い​て​それ​に​こたえ応じれ​ば​応じる​ほど,信仰​は​強く​なり​ます。サムエル​の​場合​が​そう​でし​た。

サムエル​は​恐れ​を​感じ​た​が,エホバ​から​の​裁き​の​音信​を​忠実​に​エリ​に​伝え​た

22,23. (イ)サムエル​が​当初​伝える​こと​を​恐れ​た​音信​は,どの​よう​に​成就​し​まし​た​か。(ロ)サムエル​の​評判​は​どの​よう​に​高まっ​て​ゆき​まし​た​か。

22 シロ​で​の​その​晩​は,サムエル​の​人生​に​おける​大きな​節目​と​なり​まし​た。その​時​から​特別​な​意味​で​エホバ​を​知る​よう​に​なり,神​ご自身​の​預言​者​また​代弁​者​と​なっ​た​から​です。この​少年​は​当初,エホバ​から​の​音信​を​エリ​に​伝える​こと​を​恐れ​まし​た。その​音信​は,エリ​の​家族​に​対する​預言​が​間​も​なく​成就​する​と​いう​最終​宣告​だっ​た​から​です。と​は​いえ,サムエル​は​勇気​を​奮い起こし​て​語り,エリ​は​謙遜​に​神​の​裁き​を​受け入れ​ます。程なく​し​て,エホバ​の​言わ​れ​た​こと​が​すべて​実現​し​ます。イスラエル​は​フィリスティア​人​と​戦い,ホフニ​と​ピネハス​は​二​人​と​も​同じ​日​の​うち​に​殺さ​れ​ます。エリ​も,エホバ​の​神聖​な​箱​が​奪い取ら​れ​た​こと​を​聞い​て​死に​ます。―サム​一 3:10‐18; 4:1‐18

 23 忠実​な​預言​者​と​し​て​の​サムエル​の​評判​は,ますます​高まっ​て​ゆき​ます。エホバ​が「彼​と​共​に​おら​れ」,サムエル​の​預言​が​一つ​と​し​て​果たさ​れ​ない​まま​に​は​され​なかっ​た,と​記さ​れ​て​い​ます。―サムエル​第​一 3:19を​読む。

「サムエル​が​エホバ​に​呼び求める」

24. やがて​イスラエル​人​は​どんな​こと​を​要求​し​まし​た​か。それ​が​重大​な​罪​だっ​た​の​は​なぜ​です​か。

24 イスラエル​人​は​サムエル​の​指導​に​従い,霊的​で​忠実​な​民​に​なっ​た​の​でしょ​う​か。そう​で​は​あり​ませ​ん。彼ら​は​やがて,単なる​預言​者​が​自分​たち​を​裁く​だけ​で​は​物足りない​と​考える​よう​に​なり​まし​た。他​の​国民​と​同じ​よう​に​なり​たい,人間​の​王​に​治め​て​もらい​たい​と​思っ​た​の​です。サムエル​は​エホバ​の​指示​に​従い,民​の​求め​に​応じ​ます。しかし,イスラエル​に​彼ら​の​罪​の​大きさ​を​教え​なけれ​ば​なり​ませ​ん。彼ら​が​退け​た​の​は​単なる​人間​で​は​なく,エホバ​ご自身​だっ​た​の​です。その​ため,サムエル​は​民​を​ギルガル​に​召集​し​ます。

サムエル​は​信仰​を​抱い​て​祈り,エホバ​は​それ​に​答え​て​雷雨​を​起こさ​れ​た

25,26. 年老い​た​サムエル​は​ギルガル​で,どの​よう​に​し​て​エホバ​に​対する​罪​の​重大​さ​を​民​に​悟ら​せ​まし​た​か。

25 冒頭​の​緊迫​し​た​場面​に​戻り​ましょ​う。ギルガル​で​サムエル​が​イスラエル​に​話し​ます。年老い​た​サムエル​は,自分​が​忠誠​の​歩み​を​貫い​て​き​た​こと​を​イスラエル​に​思い起こさ​せ​た​後,「エホバ​に​呼び求め」ます。雷雨​を​求め​た​の​です。―サム​一 12:17,18

26 乾期​に​雷雨​が​起きる​の​でしょ​う​か。そんな​こと​は​聞い​た​ためし​が​あり​ませ​ん。民​の​間​に​は​疑い​や​あざけり​が​生じ​た​か​も​しれ​ませ​ん。しかし,それ​も​長く​は​続き​ませ​ん。突如,黒い​雲​が​空​を​覆い​ます。風​が​畑​の​小麦​を​なぎ倒し,耳​を​つんざく​よう​な​雷鳴​が​とどろき,雨​が​降っ​て​き​ます。人々​は​どう​反応​し​ます​か。「民​は​皆,エホバ​と​サムエル​と​を​大いに​恐れ」ます。ようやく,犯し​た​罪​の​重大​さ​を​悟っ​た​の​です。―サム​一 12:18,19

27. サムエル​の​信仰​に​倣う​人々​に​つい​て,エホバ​は​どう​お感じ​に​なり​ます​か。

27 民​の​反抗​的​な​心​を​動かし​た​の​は,サムエル​で​は​なく,サムエル​の​神​エホバ​でし​た。サムエル​は​若い​時​から​老齢​に​至る​まで​エホバ​に​信仰​を​置き,エホバ​は​彼​に​報い​を​お与え​に​なっ​た​の​です。エホバ​は​今​も​変わっ​て​おら​れ​ませ​ん。サムエル​の​信仰​に​倣う​人々​を​支え​て​おら​れ​ます。

^ 5節 ナジル​人​は,飲酒​や​髪​を​切る​こと​など​を​禁じる​誓約​の​もと​に​あり​まし​た。ほとんど​の​人​は​期間​を​限っ​て​その​よう​な​誓約​を​立て​まし​た。しかし​少数​ながら,サムソン,サムエル,バプテスト​の​ヨハネ​など,生涯​に​わたる​ナジル​人​も​い​まし​た。

^ 9節 この​聖​なる​所​は​長方​形​で,基本​的​に​は,木​の​枠組み​で​支え​られ​た​大きな​天幕​でし​た。と​は​いえ,最上​の​材料​で​造ら​れ​て​おり,あざらし​の​皮,美しい​刺しゅう​の​施さ​れ​た​布,銀​や​金​を​かぶせ​た​高価​な​木材​が​用い​られ​て​い​まし​た。幕屋​の​周り​は​長方​形​の​中庭​で,そこ​に​は​犠牲​を​ささげる​ため​の​堂々​たる​祭壇​が​あり​まし​た。後​に,幕屋​の​両側​に,祭司​たち​が​使う​ため​の​幾つ​か​の​部屋​が​設け​られ​た​よう​です。サムエル​は​それら​の​部屋​の​一つ​で​寝​て​い​た​の​でしょ​う。

^ 12節 不敬​な​行ない​の​例​が​二つ​記録​さ​れ​て​い​ます。第​一​に,律法​に​は,犠牲​の​捧げ物​の​どの​部分​を​食用​と​し​て​祭司​に​渡す​べき​か​が​規定​さ​れ​て​い​まし​た。(申 18:3)しかし,邪悪​な​祭司​たち​は​幕屋​で,それ​と​は​全く​違う​こと​を​し​て​い​まし​た。従者​に​命じ​て,肉​が​煮え​て​いる​大釜​に​大きな​肉刺し​を​突き入れ​させ,何​で​あれ​出​て​くる​良い​肉​を​取ら​せ​て​い​た​の​です。第​二​に,人々​が​祭壇​で​焼く​ため​の​犠牲​を​持っ​て​来る​と,邪悪​な​祭司​たち​は​従者​に​命じ​て​人々​を​脅さ​せ,犠牲​の​脂肪​を​エホバ​に​ささげる​前​に​生​の​肉​を​渡す​よう​に​要求​さ​せ​まし​た。―レビ 3:3‐5。サム​一 2:13‐17