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 第​6​章

神に心を打ち明けて祈った女性

神に心を打ち明けて祈った女性

1,2. (イ)ハンナ​に​とっ​て​旅​支度​が​楽しく​なかっ​た​の​は​なぜ​です​か。(ロ)ハンナ​の​例​から,どんな​こと​を​学べ​ます​か。

ハンナ​は,忙しく​旅​支度​を​し​て​気​を​紛らわせ​よう​と​し​て​い​ます。本当​なら​楽しい​時​で​ある​はず​です。夫​の​エルカナ​は,家族​全員​を​連れ​て​旅する​こと​を​毎年​の​習慣​に​し​て​い​ます。シロ​の​幕屋​で​崇拝​を​行なう​ため​です。それ​が​喜び​の​時​と​なる​こと​を​エホバ​は​意図​し​て​おら​れ​ます。申命記 16:15を​読む。ハンナ​も​子ども​の​ころ​から,その​よう​な​祭り​を​楽しん​で​い​た​こと​でしょ​う。でも,ここ​数​年​で​状況​は​変わっ​て​しまい​まし​た。

2 ハンナ​は​愛情​深い​夫​に​恵ま​れ​て​い​ます。しかし​夫​の​エルカナ​に​は,ペニンナ​と​いう​もう​一​人​の​妻​が​い​ます。彼女​は,何​と​か​し​て​ハンナ​の​生活​を​惨め​に​し​たい​よう​です。毎年​の​祭り​の​時​に​も,ハンナ​に​ひどく​苦しい​思い​を​させ​よう​と​し​ます。どの​よう​に​でしょ​う​か。さらに​重要​な​点​と​し​て,どう​に​も​なら​ない​と​思える​状況​に​ハンナ​が​対処​する​うえ​で,エホバ​へ​の​信仰​は​どの​よう​に​助け​に​なる​でしょ​う​か。ハンナ​の​例​は,生活​から​喜び​を​奪いかね​ない​難しい​問題​を​抱え​て​いる​人​たち​に​とっ​て,大きな​励み​に​なる​でしょ​う。

「どうして​あなた​の​心​は​痛む​の​か」

3,4. ハンナ​は​どんな​二つ​の​大きな​問題​を​抱え​て​い​まし​た​か。それぞれ​が​難しい​問題​だっ​た​の​は​なぜ​です​か。

3 聖書​に​よる​と,ハンナ​の​生活​に​は​二つ​の​大きな​問題​が​あり​まし​た。自分​で​は​ほとんど​コントロール​で​き​ない​問題​と,全く​コントロール​で​き​ない​問題​です。第​一​に,ハンナ​は​一夫多妻​の​結婚​関係​に​あり,もう​一​人​の​妻​は​ハンナ​を​ライバル​視​し,嫌っ​て​い​ます。第​二​に,ハンナ​は​うまずめ​です。不妊​は,子ども​を​切望​する​女性​に​とっ​て​つらい​こと​です​が,当時​の​社会​で​は​とりわけ​大きな​悲嘆​の​元​と​なり​まし​た。どの​家族​も​子ども​が​家名​を​継ぐ​こと​を​期待​し​て​い​た​の​で,うまずめ​で​ある​こと​は​大変​な​不​名誉​また​恥​と​みなさ​れ​た​の​です。

4 もし​ペニンナ​が​い​なけれ​ば,ハンナ​は​うまずめ​で​ある​こと​に​耐え​られ​た​ か​も​しれ​ませ​ん。一夫多妻​は​決して​理想​的​な​もの​で​は​あり​ませ​ん​でし​た。張り合っ​たり,争っ​たり,心​が​傷つい​たり​する​こと​が​少なく​なかっ​た​の​です。一夫多妻​は,神​が​エデン​の​園​で​定め​た​一夫一婦​と​いう​規準​から​かけ離れ​て​い​まし​た。(創 2:24)聖書​は​一夫多妻​を​好ましく​ない​もの​と​し​て​描い​て​い​ます。エルカナ​の​家族​の​痛ましい​状況​に​関する​記述​は,その​典型​です。

5. ペニンナ​が​ハンナ​を​苦しめ​たい​と​思っ​た​の​は​なぜ​です​か。どの​よう​に​し​て​ハンナ​を​傷つけ​まし​た​か。

5 エルカナ​が​最も​愛し​て​いる​の​は​ハンナ​です。ユダヤ​人​の​伝承​に​よれ​ば,エルカナ​は​まず​ハンナ​と​結婚​し,何​年​か​後​に​ペニンナ​を​迎え​た​よう​です。いずれ​に​し​て​も,ペニンナ​は​ハンナ​を​ねたん​で​ライバル​視​し,何​か​に​つけ​て​ハンナ​を​苦しめ​ます。ペニンナ​の​強み​は,子ども​が​たくさん​いる​こと​です。子ども​を​産む​たび​に,うぬぼれ​が​強く​なっ​て​ゆき​ます。ハンナ​に​同情​し​て​慰める​どころ​か,落胆​し​た​デリケート​な​気持ち​に​付け込み​ます。聖書​は,ペニンナ​が​ハンナ​を「当惑​さ​せ​よう​と​し​て」ひどく​悩ませ​た,と​述べ​て​い​ます。(サム​一 1:6)ペニンナ​の​行動​は​意図​的​な​もの​でし​た。ハンナ​を​傷つけ​たい​と​思い,うまく​傷つけ​た​の​です。

ハンナ​は​子ども​が​でき​ない​こと​で​苦悩​し​て​い​た。その​苦悩​に​ペニンナ​の​意地悪​が​追い打ち​を​かけ​た

6,7. (イ)エルカナ​が​慰め​よう​と​し​た​の​に​ハンナ​が​事情​を​話さ​なかっ​た​こと​に​は,どんな​理由​が​あっ​た​か​も​しれ​ませ​ん​か。(ロ)ハンナ​が​うまずめ​だっ​た​の​は,エホバ​が​彼女​を​不快​に​思っ​て​おら​れ​た​から​です​か。説明​し​て​ください。(脚注​を​参照。)

6 ペニンナ​に​とっ​て​絶好​の​機会​が​訪れ​ます。毎年​の,崇拝​の​ため​の​シロ​へ​の​旅​です。エルカナ​は,ペニンナ​の​多く​の​子ども​たち,「その​すべて​の​息子​や​娘​たち」一人一人​に,エホバ​に​ささげ​た​犠牲​の​中​から​受け分​を​与え​ます。しかし,とりわけ​愛する​ハンナ​に​は​特別​の​分​を​与え​ます。嫉妬​し​た​ペニンナ​は​ハンナ​を​見下し,うまずめ​で​ある​こと​を​思い知ら​せ​ます。かわいそう​な​ハンナ​は​泣きだし,食欲​を​なくし​ます。当然​ながら​エルカナ​は,愛する​ハンナ​が​苦悩​し​て​食事​を​し​ない​こと​に​気づき​ます。それで,慰め​よう​と​し​て​こう​言い​ます。「ハンナ,なぜ​泣く​の​か。なぜ​食事​を​し​ない​の​か。どうして​あなた​の​心​は​痛む​の​か。わたし​は​あなた​に​とっ​て​十​人​の​息子​より​も​勝っ​て​いる​で​は​ない​か」。―サム​一 1:4‐8

7 エルカナ​は,ハンナ​が​苦悩​し​て​いる​の​は​子ども​が​でき​ない​こと​と​関係​が​ある,と​察し​ます。ハンナ​は,夫​から​親切​で​愛​の​こもっ​た​言葉​を​かけ​られ​て​うれしかっ​た​でしょ​う。 * と​は​いえ​エルカナ​は,ペニンナ​の​悪​感情​に​つい​て​何​も​述べ​ て​い​ませ​ん。ハンナ​も,夫​に​話さ​なかっ​た​よう​です。その​よう​な​こと​を​し​て​も​状況​が​悪化​する​だけ​だ,と​思っ​た​の​か​も​しれ​ませ​ん。夫​は​事態​を​正し​て​くれる​でしょ​う​か。ペニンナ​の​嫌がらせ​が​エスカレート​し,ペニンナ​の​子ども​や​僕​たち​から​も​侮ら​れる​の​で​は​ない​でしょ​う​か。家族​の​中​で​の​疎外​感​が​深まる​だけ​で​は​ない​でしょ​う​か。

家庭​内​で​意地悪​な​仕打ち​を​受け​た​ハンナ​は,慰め​を​求め​て​エホバ​に​頼っ​た

8. 嫌がらせ​や​不​公正​を​経験​する​とき,エホバ​が​公正​の​神​で​ある​こと​を​思い出す​と​慰め​られる​の​は​なぜ​です​か。

8 エルカナ​が​ペニンナ​の​嫌がら​せ​すべて​を​知っ​て​い​た​か​どう​か​に​かかわり​なく,エホバ​神​は​すべて​を​見​て​おら​れ​まし​た。神​の​言葉​は​全容​を​明らか​に​し​て​い​ます。これ​は,ねたみ​や​憎しみ​に​基づい​て​行動​し​ながら,それ​を​ささい​な​こと​と​考える​人​たち​に​とっ​て,厳粛​な​警告​と​なり​ます。一方,ハンナ​の​よう​に​平和​を​好む​潔白​な​人​たち​は,公正​の​神​が​ご自分​の​定め​の​時​に​ご自分​の​方法​で​万事​を​正し​て​くださる​と​いう​こと​を​知っ​て​いる​の​で,慰め​られ​ます。申命記 32:4を​読む。ハンナ​も​その​こと​を​知っ​て​い​た​の​でしょ​う。エホバ​に​助け​を​求め​ます。

「もはや​自分​の​こと​を​気遣っ​て​いる​よう​で​は​なかっ​た」

9. ハンナ​が,自分​を​ライバル​視​する​ペニンナ​から​何​を​される​か​知り​ながら​シロ​へ​の​旅​に​出かけ​た,と​いう​こと​から​何​を​学べ​ます​か。

9 早朝,家族​は​にぎやか​です。子ども​を​含め,皆​が​旅​支度​を​し​て​い​ます。大​家族​が​シロ​まで,エフライム​の​丘陵​地​を​30​㌔​以上​旅する​の​です。 * 徒歩​で​1​日​か​2​日​の​旅​です。ハンナ​は,自分​を​ライバル​視​する​ペニンナ​から​何​を​される​か​知っ​て​い​ます​が,家​に​残っ​たり​は​し​ませ​ん。現代​の​神​の​崇拝​者​たち​に​とっ​て​優れ​た​模範​です。他​の​人​の​間違っ​た​行ない​に​よっ​て​神​へ​の​崇拝​を​妨げ​られ​て​しまう​の​は,決して​賢明​な​こと​で​は​あり​ませ​ん。もし​そう​なる​なら,耐える​力​を​与える​様々​な​祝福​を​得損なっ​て​しまう​でしょ​う。

10,11. (イ)ハンナ​が​できる​だけ​早く​幕屋​に​向かっ​た​の​は​なぜ​です​か。(ロ)ハンナ​は​どの​よう​に​祈り​で​天​の​父​に​心​を​注ぎ出し​まし​た​か。

10 曲がりくねっ​た​山道​を​何​時間​も​歩い​た​後,大​家族​は​ついに​シロ​の​近く​まで​来​ます。シロ​は​丘​の​上​に​あり,周囲​の​ほとんど​は​もっと​高い​丘陵​地​に​なっ​て​い​ます。ハンナ​は​歩き​ながら,エホバ​に​どう​祈ろ​う​か​と​思案​し​て​い​た​こと​でしょ​う。シロ​に​到着​する​と,家族​は​一緒​に​食事​を​し​ます。ハンナ​は​できる​だけ​早く​その​場​を​離れ,エホバ​の​幕屋​に​向かい​ます。幕屋​に​は​大​祭司​エリ​が​おり,戸柱​の​近く​に​座っ​て​い​ます。しかし,ハンナ​は​ひたすら​神​に​心​を​向け​て​い​ます。幕屋​で​なら​祈り​を​聞い​て​いただける,と​確信​し​て​いる​の​です。つらい​境遇​を​だれ​も​十分​ に​理解​し​て​くれ​ない​と​し​て​も,天​の​父​なら​理解​し​て​ください​ます。苦しい​気持ち​が​こみ上げ​て​き​て,ハンナ​は​泣き​始め​ます。

11 体​を​震わせ​て​むせび泣き,無言​で​エホバ​に​語りかけ​ます。苦悩​を​何​と​か​言葉​に​し​よう​と​する​と,唇​が​震え​ます。長い​祈り​で​天​の​父​に​心​を​注ぎ出し​ます。しかし,ただ​子ども​を​授け​て​ください​と​懇願​する​だけ​で​は​あり​ませ​ん。神​から​祝福​を​受ける​だけ​で​なく,自分​も​神​に​何​か​を​ささげ​たい​と​強く​願っ​て​い​ます。それで,男​の​子​を​授け​て​くださる​なら,その​子​を​生涯​に​わたる​エホバ​へ​の​奉仕​に​おささげ​し​ます,と​誓約​し​ます。―サム​一 1:9‐11

12. ハンナ​の​模範​が​示す​よう​に,祈り​に​関し​て​どんな​こと​を​覚え​て​おく​べき​です​か。

12 ハンナ​は,祈り​の​点​で,神​の​僕​すべて​に​とっ​て​模範​と​なっ​て​い​ます。エホバ​は​ご自分​の​民​に,ためらわ​ず​率直​に​わたし​に​話し​なさい,と​優しく​勧め​て​おら​れ​ます。愛情​深い​親​を​信頼​し​て​いる​子​が​親​に​対し​て​する​よう​に​エホバ​の​前​に​心配事​を​注ぎ出す​こと​を​勧め​て​おら​れる​の​です。詩編 62:8; テサロニケ​第​一 5:17を​読む。使徒​ペテロ​も,霊感​の​もと​に,エホバ​へ​の​祈り​に​関し​て​次​の​よう​な​励まし​の​言葉​を​書い​て​い​ます。「自分​の​思い煩い​を​すべて​神​に​ゆだね​なさい。神​は​あなた方​を​顧み​て​くださる​から​です」。―ペテ​一 5:7

13,14. (イ)エリ​は​ハンナ​の​こと​を​誤解​し,どの​よう​に​決めつけ​まし​た​か。(ロ)ハンナ​は​エリ​に​答え​た​時,立派​な​信仰​を​どの​よう​に​示し​まし​た​か。

13 しかし​人間​は,エホバ​の​よう​に​は​理解​し​たり​感情​移入​し​たり​する​こと​が​でき​ませ​ん。泣き​ながら​祈っ​て​い​た​ハンナ​は,声​を​かけ​られ​て​驚き​ます。声​の​主​は​大​祭司​エリ​です。ハンナ​を​見​て​い​た​の​です。エリ​は,「いつ​まで​酔っ​て​いる​の​か。ぶどう​酒​の​酔い​を​去ら​せ​なさい」と​言い​ます。唇​を​震わせ​感情​を​高ぶら​せ​て​泣い​て​いる​ハンナ​を​見​て,どう​し​た​の​か​と​尋ねる​こと​なく,酔っ​て​いる​と​決めつけ​た​の​です。―サム​一 1:12‐14

14 ハンナ​は​深く​傷つい​た​こと​でしょ​う。苦しん​で​いる​時​に,いわれ​の​ない​非難​を​受け​まし​た。しかも,大いに​尊敬​さ​れる​立場​の​人​から​そう​さ​れ​た​の​です。しかし​この​時​も,ハンナ​は​立派​な​信仰​を​示し​ます。他​の​人​の​不​完全​さ​に​よっ​て​エホバ​へ​の​崇拝​を​妨げ​られ​たり​は​し​ませ​ん。敬意​を​こめ​て​エリ​に​答え,事情​を​説明​し​ます。エリ​は,おそらく​先​ほど​と​は​違う​優しい​穏やか​な​口調​で,「安心​し​て​行き​なさい。イスラエル​の​神​が,あなた​の​願い求め​た​その​請願​を​かなえ​て​くださる​よう​に」と​言い​ます。―サム​一 1:15‐17

15,16. (イ)ハンナ​は,幕屋​で​エホバ​に​心​を​打ち明け​て​エホバ​を​崇拝​し​た​結果,どう​なり​まし​た​か。(ロ)わたしたち​は,消極​的​な​感情​と​闘っ​て​いる​時,どの​よう​に​ハンナ​の​模範​に​倣え​ます​か。

15 ハンナ​は,幕屋​で​エホバ​に​心​を​打ち明け​て​エホバ​を​崇拝​し​た​結果,どう​なっ​た​でしょ​う​か。聖書​に​は,「この​女​は​去っ​て​行っ​て,食事​を​し​た。その​顔​は​ もはや​自分​の​こと​を​気遣っ​て​いる​よう​で​は​なかっ​た」と​記さ​れ​て​い​ます。(サム​一 1:18)別​の​訳​に​よれ​ば,「その​顔​は,もはや​悲しげ​で​は​なくなっ​た」の​です。(「口語​訳」,日本​聖書​協会)ハンナ​は​気持ち​が​楽​に​なり​まし​た。感情​面​で​の​重荷​を,自分​の​肩​より​も​ずっ​と​広く​て​強い​天​の​父​の​肩​に​移し​た​から​です。詩編 55:22を​読む。エホバ​に​は,重すぎ​て​担え​ない​問題​など​あり​ませ​ん。当時​も,今​も,そして​将来​も​です。

16 悲しみ​に​押しひしが​れ,打ちのめさ​れ,のみ込ま​れ​そう​な​時,ハンナ​の​模範​に​倣っ​て,「祈り​を​聞か​れる​方」で​ある​神​に​率直​に​話す​の​は​良い​こと​です。(詩 65:2)信仰​の​うち​に​そう​する​なら,悲しみ​が​和らぎ,「一切​の​考え​に​勝る​神​の​平和」を​抱ける​でしょ​う。―フィリ 4:6,7

「わたしたち​の​神​の​よう​な​岩​は​あり​ませ​ん」

17,18. (イ)エルカナ​は​どの​よう​に​し​て​ハンナ​の​誓約​を​支持​し​まし​た​か。(ロ)ペニンナ​は​ハンナ​に​何​を​する​こと​が​でき​なく​なり​まし​た​か。

17 翌朝​ハンナ​は,エルカナ​と​一緒​に​再び​幕屋​に​行き​ます。自分​の​願い事​や​誓い​に​つい​て​夫​に​話し​て​い​た​こと​でしょ​う。モーセ​の​律法​で​は,妻​が​夫​の​同意​を​得​ず​に​誓約​を​し​た​場合,夫​に​は​その​誓約​を​無効​に​する​権利​が​あり​まし​た。(民 30:10‐15)忠実​な​エルカナ​は​そう​は​せ​ず,ハンナ​と​共​に​幕屋​で​エホバ​を​崇拝​し​て​から​家路​に​就き​ます。

18 ペニンナ​は,もう​ハンナ​を​動揺​さ​せる​こと​が​でき​ない,と​いう​こと​に​いつ​気づい​た​の​でしょ​う​か。聖書​は​何​も​述べ​て​い​ませ​ん。しかし,ハンナ​が「もはや​自分​の​こと​を​気遣っ​て​いる​よう​で​は​なかっ​た」と​いう​表現​から​する​と,その​時​以降​ハンナ​は​気​に​病ま​なく​なっ​た​よう​です。いずれ​に​し​て​も,ペニンナ​は​意地悪​に​効果​が​ない​こと​を​悟り​まし​た。この​後,聖書​に​ペニンナ​の​名​は​出​て​き​ませ​ん。

19. ハンナ​は​どんな​祝福​を​受け​まし​た​か。その​祝福​を​与え​て​くださっ​た​方​を​意識​し​て​いる​こと​を​どの​よう​に​示し​まし​た​か。

19 何​か月​か​後,平安​な​気持ち​で​過ごし​て​い​た​ハンナ​は,抑えきれ​ない​ほど​の​喜び​を​感じ​ます。子ども​を​身ごもっ​た​の​です! しかし​ハンナ​は,その​祝福​を​与え​て​くださっ​た​方​の​こと​を​一瞬​たり​と​も​忘れ​て​い​ませ​ん。男​の​子​が​生まれ,ハンナ​は​その​子​を,「神​の​名」と​いう​意味​の​サムエル​と​名づけ​ます。この​名前​は,神​の​名​を​呼び求める​こと​を​示唆​し​て​いる​よう​です。確か​に​ハンナ​は,神​の​名​を​呼び求め​まし​た。その​年,ハンナ​は,エルカナ​と​家族​が​シロ​へ​旅する​時,一緒​に​行き​ませ​ん。息子​が​乳離れ​する​まで​の​3​年​間,その​子​と​共​に​家​に​とどまり​ます。そして,愛する​息子​を​手離す​日​の​ため​に​心​の​準備​を​し​ます。

20. ハンナ​と​エルカナ​は,エホバ​へ​の​約束​を​どの​よう​に​守り​まし​た​か。

 20 息子​を​手離す​の​は​つらかっ​た​に​違いあり​ませ​ん。もちろん,サムエル​が​シロ​で​よく​世話​し​て​もらえる​こと​は​分かっ​て​い​ます。幕屋​で​仕え​て​いる​女性​たち​の​だれ​か​が​世話​し​て​くれる​でしょ​う。と​は​いえ,サムエル​は​まだ​幼子​です。母親​で​あれ​ば,子ども​を​手元​に​置き​たい​の​で​は​ない​でしょ​う​か。しかし​ハンナ​と​エルカナ​は,しぶしぶ​で​は​なく,感謝​を​抱い​て​息子​を​連れ​て​行き​ます。二​人​は​神​の​家​で​犠牲​を​ささげ​て​から,何​年​か​前​に​ハンナ​が​行なっ​た​誓約​に​つい​て​エリ​に​話し,サムエル​を​エリ​に​託し​ます。

ハンナ​は​息子​サムエル​に​とっ​て​まさに​祝福​だっ​た

21. エホバ​へ​の​ハンナ​の​祈り​に​は,信仰​の​深さ​が​どの​よう​に​表われ​て​い​ます​か。(「 二つ​の​印象​的​な​祈り」と​いう​囲み​を​参照。)

21 ハンナ​は​祈り​を​ささげ​ます。神​が​霊感​に​よる​み言葉​に​含める​に​ふさわしい​と​ご覧​に​なっ​た​祈り​です。サムエル​第​一 2​章​1‐10​節​に​記さ​れ​て​いる​その​祈り​を​読む​と,ハンナ​の​信仰​の​深さ​が​伝わっ​て​き​ます。ハンナ​は,驚嘆​す​べき​仕方​で​力​を​行使​な​さる​エホバ​を​賛美​し​て​い​ます。エホバ​に​は,ごう慢​な​者​を​低め,虐げ​られ​て​いる​者​に​祝福​を​与え,命​を​終わらせ​たり​死​から​救い出し​たり​する​比類​の​ない​能力​が​ある​の​です。ハンナ​は,無類​の​神聖​さ,公正​さ,忠実​さ​ゆえ​に​も​エホバ​を​賛美​し​て​い​ます。そして,「わたしたち​の​神​の​よう​な​岩​は​あり​ませ​ん」と​言い​ます。エホバ​は​全く​信頼​できる,変わる​こと​の​ない​方​で​あり,虐げ​られ​て​エホバ​に​助け​を​求める​人​すべて​の​避難​所​だ​から​です。

22,23. (イ)サムエル​は​親​の​愛​を​感じ​ながら​成長​し​て​いっ​た​に​違いない,と​言える​の​は​なぜ​です​か。(ロ)エホバ​は​ハンナ​を​さらに​どの​よう​に​祝福​さ​れ​まし​た​か。

22 幼い​サムエル​は,エホバ​へ​の​信仰​に​満ち​た​母親​に​恵ま​れ​て​い​まし​た。母​を​恋しく​思う​こと​も​あっ​た​でしょ​う​が,母​に​忘れ​られ​た​と​感じる​こと​は​あり​ませ​ん​でし​た。ハンナ​は​毎年,そでなし​の​上着​を​持っ​て​シロ​に​やっ​て​来​まし​た。それ​は​サムエル​が​幕屋​ で​奉仕​する​時​に​着る​ため​の​もの​で,一​針​一​針​に​息子​へ​の​愛​と​気遣い​が​込め​られ​て​い​まし​た。サムエル​第​一 2:19を​読む。ハンナ​が​新しい​上着​を​息子​に​着せ​て​いる​ところ​を​想像​し​て​み​て​ください。しわ​を​伸ばし​ながら,いとおし​そう​に​息子​を​見つめ,優しく​励まし​の​言葉​を​かけ​て​い​ます。サムエル​に​とっ​て,その​よう​な​母親​が​いる​こと​は​祝福​でし​た。そして​サムエル​は​成長​し,両親​と​全​イスラエル​に​とっ​て​祝福​と​なり​まし​た。

23 ハンナ​も​忘れ​られる​こと​は​あり​ませ​ん​でし​た。エホバ​は​彼女​を​祝福​し,多く​の​子ども​を​授け​まし​た。ハンナ​は​エルカナ​と​の​間​に​さらに​5​人​の​子​を​もうけ​ます。(サム​一 2:21)と​は​いえ,ハンナ​に​とっ​て​最大​の​祝福​は,時​と​とも​に​天​の​父​エホバ​と​の​絆​が​いっそう​強まっ​た​こと​でしょ​う。あなた​も,ハンナ​の​信仰​に​倣い,神​と​の​絆​を​強める​こと​が​でき​ます​よう​に。

^ 7節 エホバ​が「彼女​の​胎​を​ふさい​で​おら​れ​た」と​記さ​れ​て​い​ます​が,謙遜​で​忠実​な​女性​で​ある​ハンナ​を​神​が​不快​に​思っ​て​おら​れ​た​こと​を​示す​証拠​は​あり​ませ​ん。(サム​一 1:5)聖書​は,神​が​しばらく​許し​て​おら​れる​に​すぎ​ない​物事​を​神​に​よる​もの​と​し​て​述べる​こと​が​あり​ます。

^ 9節 この​距離​は,エルカナ​の​住ん​で​い​た​ラマ​が,イエス​の​時代​に​アリマタヤ​と​呼ば​れ​た​場所​と​同じ​で​ある,と​いう​仮定​に​基づい​て​い​ます。