内容へ

目次へ

 第​3​章

「信仰を持つ人すべての父」

「信仰を持つ人すべての父」

1,2. ノア​の​日​以来,世界​は​どの​よう​に​変わっ​て​しまい​まし​た​か。アブラハム​は​その​こと​に​つい​て​どう​感じ​て​い​た​よう​です​か。

アブラハム​は,自分​の​住む​都市​ウル​に​そびえ立つ​ジッグラト​を​見上げ​ます。 * ジッグラト​の​上方​から​は​騒がしい​声​が​聞こえ,煙​が​立ち上っ​て​い​ます。月​の​神​の​祭司​たち​が​また​犠牲​を​ささげ​て​いる​の​です。アブラハム​は​顔​を​背け,眉間​に​しわ​を​寄せ​て​頭​を​振り​ます。通り​の​雑踏​の​中​を​家​へ​向かい​ながら,ウル​に​はびこっ​て​いる​偶像​礼拝​に​つい​て​考え​た​こと​でしょ​う。ノア​の​日​以来,堕落​し​た​崇拝​に​よっ​て​世界​中​に​汚れ​が​広まっ​て​い​ます。

2 ノア​が​亡くなっ​た​の​は,アブラハム​が​生ま​れる​ちょうど​2​年​前​でし​た。大​洪水​後,族長​ノア​が​家族​と​とも​に​箱船​から​出​て​エホバ​神​に​犠牲​を​ささげる​と,神​は​虹​が​現われる​よう​に​され​まし​た。(創 8:20; 9:12‐14)その​当時​の​世界​に​は,清い​崇拝​しか​あり​ませ​ん​でし​た。しかし,ノア​から​十​代​目​に​あたる​人々​が​誕生​し,地​に​増え広がる​に​つれ,清い​崇拝​を​行なう​人​は​ますます​少なく​なり​まし​た。至る所​で​異教​の​神々​が​崇拝​さ​れ​て​い​ます。アブラハム​の​父親​テラ​で​さえ,偶像​礼拝​に​かかわっ​て​い​ます。テラ​は​偶像​を​作っ​て​い​た​よう​です。―ヨシュ 24:2

アブラハム​は​どの​よう​に​し​て​際立っ​た​信仰​の​模範​と​なっ​た​か

3. 年月​を​重ねる​に​つれ,アブラハム​は​どんな​特質​ゆえに​周囲​と​は​異なる​存在​に​なり​まし​た​か。アブラハム​から​どんな​こと​を​学べ​ます​か。

3 しかし,アブラハム​は​違い​ます。年月​を​重ねる​に​つれ,信仰​ゆえに​ますます​周囲​と​は​異なる​存在​に​なっ​た​の​です。後​に​使徒​パウロ​が​霊感​の​もと​に,「信仰​を​持つ​人​すべて​の​父」と​呼ん​だ​ほど​です。ローマ 4:11を​読む。アブラハム​が​どうして​その​よう​な​人​に​なれ​た​か​を​考え​て​み​ましょ​う。そうすれば,わたしたち​ が​信仰​を​育む​の​に​役立つ​多く​の​事柄​を​学べ​ます。

大​洪水​後​の​世界​で​エホバ​に​仕える

4,5. アブラハム​は​だれ​から​エホバ​の​こと​を​学ん​だ​可能​性​が​あり​ます​か。なぜ​そう​言え​ます​か。

4 アブラハム​は​どの​よう​に​し​て​エホバ​神​の​こと​を​学ん​だ​の​でしょ​う​か。当時​も​エホバ​神​の​忠実​な​僕​たち​が​地上​に​い​まし​た。その​一​人​が​セム​です。セム​は,ノア​の​3​人​の​息子​の​中​で​最​年長​で​は​あり​ませ​ん​が,しばしば​最初​に​名前​が​挙げ​られ​て​い​ます。それ​は,セム​が​際立っ​た​信仰​を​示し​た​から​でしょ​う。 * 大​洪水​後​しばらく​し​て,ノア​は​エホバ​を「セム​の​神」と​呼び​まし​た。(創 9:26)セム​は,エホバ​と​清い​崇拝​に​敬意​を​示し​まし​た。

5 アブラハム​は​セム​を​知っ​て​い​た​の​でしょ​う​か。その​可能​性​が​あり​ます。少年​だっ​た​頃​の​アブラハム​は,400​年​以上​に​わたる​人類​史​を​目撃​し​て​き​た​先祖​が​まだ​生き​て​いる​こと​を​知っ​て,胸​を​躍らせ​た​こと​でしょ​う。セム​は,洪水​前​の​世界​の​邪悪​な​状態​や,その​悪​を​地上​から​一掃​し​た​大​洪水​を​見​まし​た。また,地上​に​人類​が​増え​て​国家​が​形成​さ​れ​て​ゆく​様子​や,バベル​の​塔​で​ニムロデ​が​反逆​を​起こし​た​暗黒​時代​も​見​て​き​まし​た。忠実​な​セム​は,その​反逆​に​加わり​ませ​ん​でし​た。その​ため,エホバ​が​塔​の​建設​者​たち​の​言語​を​混乱​さ​せ​た​時​に​も,セム​と​家族​は,人間​の​最初​の​言語,つまり​ノア​の​話し​て​い​た​言語​を​引き続き​話​し​まし​た。その​家系​に​アブラハム​は​生ま​れ​まし​た。そして,セム​に​深い​敬意​を​抱き​ながら​成長​し​た​に​違いあり​ませ​ん。また,セム​と​アブラハム​の​生涯​は​かなり​の​期間​重なっ​て​い​まし​た。ですから,アブラハム​は​セム​から​エホバ​の​こと​を​学ん​だ​よう​です。

アブラハム​は,ウル​で​広く​行なわ​れ​て​い​た​偶像​礼拝​を​退け​た

6. (イ)アブラハム​は,大​洪水​の​大切​な​教訓​を​心​に​留め​て​いる​こと​を​どの​よう​に​示し​まし​た​か。(ロ)アブラハム​と​サラ​は​どんな​生活​を​送っ​て​い​まし​た​か。

6 いずれ​に​せよ,アブラハム​は,大​洪水​の​大切​な​教訓​を​心​に​留め,ノア​と​同じ​よう​に,神​と​共​に​歩む​よう​努力​し​まし​た。それで,偶像​礼拝​を​退け,ウル​で​も,また​おそらく​身内​の​中​で​も​他​と​は​異なる​存在​と​なっ​た​の​です。と​は​いえ,アブラハム​は​サラ​と​いう​素晴らしい​伴侶​を​見つけ​ます。サラ​は,容姿​が​非常​に​美しい​だけ​で​なく,エホバ​に​対する​並外れ​た​信仰​も​持っ​て​い​まし​た。 * 二​人​は,子ども​ が​い​ませ​ん​でし​た​が,共​に​エホバ​に​仕える​こと​から​大きな​喜び​を​得​て​い​た​に​違いあり​ませ​ん。また,親​を​亡くし​た​甥​の​ロト​を​養子​に​し​て​い​まし​た。

7. イエス​の​追随​者​たち​は​どんな​点​で​アブラハム​に​倣う​必要​が​あり​ます​か。

7 アブラハム​は,偶像​礼拝​が​はびこる​ウル​に​い​て​も,エホバ​から​離れる​こと​は​あり​ませ​ん​でし​た。妻​の​サラ​と​とも​に,そう​し​た​環境​の​中​で​他​と​は​異なる​存在​に​なる​こと​を​いとい​ませ​ん​でし​た。わたしたち​も,真​の​信仰​を​培い​たい​の​で​あれ​ば​同じ​態度​が​必要​です。周り​の​人​と​異なる​こと​を​恐れ​て​は​なり​ませ​ん。イエス​は,追随​者​たち​が「世​の​もの​では​な(い)」ゆえに​世​から​憎ま​れる,と​述べ​まし​た。ヨハネ 15:19を​読む。あなた​も,エホバ​に​仕える​と​いう​決定​を​したため​に,家族​や​地域​の​人​たち​から​のけ者​に​され,つらい​思い​を​し​て​いる​か​も​しれ​ませ​ん。でも,あなた​は​一​人​で​は​あり​ませ​ん。アブラハム​や​サラ​に​倣っ​て​神​と​共​に​歩ん​で​いる​仲間​が​大勢​いる​の​です。

あなた​の​土地​から​出​なさい

8,9. (イ)アブラハム​は​どんな​忘れ​難い​経験​を​し​まし​た​か。(ロ)エホバ​から​の​メッセージ​は​どの​よう​な​もの​でし​た​か。

8 ある​日,アブラハム​は​忘れ​難い​経験​を​し​ます。エホバ​神​から​の​メッセージ​を​伝え​られ​た​の​です。聖書​は,それ​が​どの​よう​な​方法​で​なさ​れ​た​の​か​に​つい​て​詳細​を​ほとんど​明らか​に​し​て​い​ませ​ん​が,「栄光​の​神」が​この​忠実​な​男性​に​現われ​た,と​は​述べ​て​い​ます。使徒 7:2,3を​読む。アブラハム​は,神​を​代表​する​み使い​を​通し​て,宇宙​の​主権​者​の​息​を​のむ​よう​な​栄光​を​かいま見​た​の​か​も​しれ​ませ​ん。生ける​神​と​当時​崇拝​さ​れ​て​い​た​命​の​ない​偶像​と​の​違い​を​目​の​当たり​に​し​て,どんな​に​か​感動​し​た​こと​でしょ​う。

9 エホバ​から​の​メッセージ​は​どの​よう​な​もの​でし​た​か。「あなた​の​土地​から,そして​あなた​の​親族​の​もと​から​出​て,わたし​が​あなた​に​示す​土地​に​来​なさい」と​いう​もの​です。エホバ​は,どの​土地​に​行く​か​に​は​触れ​ず,その​土地​を​示す,と​だけ​おっしゃい​まし​た。いずれ​に​せよ,アブラハム​は​まず​故郷​と​親族​を​後​に​し​なけれ​ば​なり​ませ​ん。古代​中東​の​人々​に​とっ​て,家族​は​たいへん​重要​でし​た。親族​を​離れ​て​遠く​の​地​に​移動​する​こと​に​なる​の​は,非常​に​不運​な​こと​と​みなさ​れ​まし​た。そう​なる​ぐらい​なら​死ぬ​ほう​が​まし​だ,と​考える​人​も​い​た​ほど​です。

10. アブラハム​と​サラ​に​とっ​て,ウル​を​後​に​する​こと​に​は​どんな​犠牲​が​伴い​まし​た​か。

10 ウル​を​後​に​する​に​は​犠牲​が​求め​られ​ます。ウル​は​活気​に​満ち​た​裕福​な​都市​だっ​た​よう​です。(「 アブラハム​と​サラ​が​後​に​し​た​都市」と​いう​囲み​を​参照。)発掘​で​明らか​に​なっ​た​こと​です​が,古代​ウル​に​は​とても​快適​な​住居​が​あり​まし​た。家族​や​僕​たち​の​ため​の​部屋​が​10​以上​ある​家​も​あり,それら​の​部屋​は​舗装​ さ​れ​た​中庭​を​囲む​よう​に​配置​さ​れ​て​い​まし​た。上下水​道​や​洗面​所​と​いっ​た​設備​も​一般​的​でし​た。それ​に,アブラハム​と​サラ​は​もう​若く​は​なく,それぞれ​70​代​と​60​代​に​なっ​て​い​ます。アブラハム​は,妻​に​は​人並み​の​快適​な​暮らし​を​させ​たい,と​思っ​た​に​違いあり​ませ​ん。良い​夫​で​あれ​ば​そう​思う​もの​です。この​移動​に​つい​て,二​人​が​どの​よう​な​会話​を​交わし​た​か,どんな​疑問​や​不安​を​感じ​た​か,想像​し​て​み​て​ください。アブラハム​は,サラ​が​この​難しい​割り当て​を​受け入れ​た​時,とても​うれしく​思っ​た​こと​でしょ​う。サラ​は​夫​と​同じ​よう​に,快適​な​暮らし​や​家​を​進ん​で​後​に​する​こと​に​し​ます。

11,12. (イ)ウル​を​離れる​に​あたり,どんな​準備​や​決定​を​し​なけれ​ば​なり​ませ​ん​でし​た​か。(ロ)出発​の​朝​は​どんな​様子​だっ​た​と​思わ​れ​ます​か。

11 ウル​を​後​に​する​こと​に​決め​た​二​人​に​は,なす​べき​こと​が​沢山​あり​ます。荷物​を​造っ​たり​整理​し​たり​し​なけれ​ば​なり​ませ​ん。見知ら​ぬ​土地​へ​の​旅​に,何​を​持っ​て​ゆき,何​を​置い​て​ゆき​ます​か。もっと​大切​な​の​は,家族​の​こと​です。年老い​た​父親​テラ​を​どう​し​たら​よい​でしょ​う​か。アブラハム​と​サラ​は,テラ​を​連れ​て​ゆき,最期​まで​世話​を​する​こと​に​し​ます。テラ​も​快く​同意​し​た​よう​です。聖書​は,家長​で​あっ​た​テラ​が​家族​を​連れ​て​ウル​を​出​た,と​述べ​て​いる​から​です。テラ​は​すでに​偶像​礼拝​を​やめ​て​い​た​の​でしょ​う。アブラハム​の​甥​の​ロト​も​一緒​に​行く​こと​に​なり​ます。―創 11:31

12 いよいよ​出発​の​朝​を​迎え​ます。ウル​の​城壁​と​堀​の​外​に​一行​が​集まっ​て​い​ます。らくだ​や​ろば​の​背​に​は​荷物​が​積ま​れ​まし​た。 * 家畜​の​群れ​も​集め​られ​まし​た。家族​や​僕​たち​も​準備​万端​です。期待​が​高まる​中,皆​が​アブラハム​に​視線​を​向け,合図​を​待ち​ます。ついに​その​時​が​来​まし​た。出発​です。ウル​を​永久​に​後​に​する​の​です。

13. 今日​の​エホバ​の​僕​たち​は,アブラハム​や​サラ​の​よう​な​精神​を​どの​よう​に​示し​て​い​ます​か。

13 今日,エホバ​の​僕​たち​の​中​に​は,王国​伝道​者​の​必要​の​大きな​所​に​移動​する​こと​に​し​た​人​たち​が​少なく​あり​ませ​ん。宣教​を​拡大​する​ため​に​新た​な​言語​を​学ん​だり,慣れ​ない​奉仕​の​分野​に​取り組ん​だり​する​人​も​い​ます。その​よう​な​決定​に​は​犠牲​が​求め​られ​ます。物質​面​で​の​快適​さ​を​進ん​で​あきらめる​こと​も​ある​でしょ​う。そう​し​た​精神​は​本当​に​立派​で​あり,アブラハム​と​サラ​に​倣う​もの​です。その​よう​に​し​て​信仰​を​示す​とき,エホバ​は​わたしたち​が​差し出す​以上​の​もの​を​きっと​与え​て​くださる,と​確信​でき​ます。エホバ​は​必ず​信仰​に​報い​て​くださる​の​です。(ヘブ 6:10; 11:6)アブラハム​の​場合​は​どう​でしょ​う​か。

 ユーフラテス​川​を​渡る

14,15. ウル​から​ハラン​へ​の​旅​は​どの​よう​な​もの​でし​た​か。アブラハム​が​ハラン​に​とどまる​こと​に​し​た​の​は​なぜ​だっ​た​と​思わ​れ​ます​か。

14 旅​の​一行​は,移動​生活​に​だんだん​と​慣れ​て​き​まし​た。アブラハム​と​サラ​は,動物​の​背​に​乗っ​たり​歩い​たり​し​ながら​会話​を​交わし​て​い​ます。動物​たち​の​装具​に​つい​て​いる​鈴​が​チリンチリン​と​鳴っ​て​い​ます。皆,旅​の​経験​は​ほとんど​あり​ませ​ん​でし​た​が,天幕​を​張っ​たり​たたん​だり​する​の​が​上手​に​なっ​て​き​まし​た。らくだ​や​ろば​の​背​に,年老い​た​テラ​が​楽​に​座れる​よう​に​する​方法​も​分かっ​て​き​まし​た。一行​は​ユーフラテス​川​に​沿っ​て​北西​に​進み​ます。数​日,数​週​間​と​過ぎ,風景​が​ゆっくり​と​変わっ​て​ゆき​ます。

15 960​㌔​ほど​進ん​だ​ところ​で,ハラン​に​到着​し​ます。ハラン​は​東西​交易​路​の​交差​点​に​位置​する​繁栄​し​た​都市​で,蜂​の​巣​型​の​住居​が​あり​ます。アブラハム​と​家族​は​そこ​に​しばらく​とどまる​こと​に​し​ます。旅​を​続ける​に​は​テラ​が​弱りすぎ​て​い​た​の​か​も​しれ​ませ​ん。

16,17. (イ)アブラハム​は​どんな​契約​に​感動​し​まし​た​か。(ロ)アブラハム​が​ハラン​に​いる​間​に,エホバ​は​どんな​祝福​を​お与え​に​なり​まし​た​か。

16 やがて,テラ​が​205​歳​で​亡くなり​ます。(創 11:32)アブラハム​は​悲しみ​ ます​が,この​時​に​エホバ​から​再び​メッセージ​を​伝え​られ​た​の​で,大いに​慰め​られ​ます。エホバ​は​ウル​で​与え​た​指示​を​もう​一度​告げ,ご自分​の​約束​に​つい​て​詳しく​話さ​れ​ます。アブラハム​は「大いなる​国民」を​形成​し,彼​に​よっ​て​地上​の​すべて​の​家族​に​祝福​が​もたらさ​れる​こと​に​なる​の​です。創世記 12:2,3を​読む。アブラハム​は​自分​と​神​と​の​間​で​結ば​れ​た​契約​に​感動​し,出発​す​べき​時​が​来​た​こと​を​知り​ます。

17 今回​は,荷造り​する​もの​が​以前​より​増え​まし​た。ハラン​に​いる​間​に​エホバ​が​祝福​し​て​くださっ​た​から​です。聖書​に​は,アブラハム​と​サラ​が「自分​たち​の​ため​た​すべて​の​貨財​と​ハラン​で​得​た​幾​人​か​の​魂」と​を​伴っ​た,と​あり​ます。(創 12:5)アブラハム​が​国民​を​形成​する​に​は,物質​的​な​資産​と​僕​たち​を​有する​大​家族​が​必要​です。エホバ​は,ご自分​の​僕​を​必ずしも​物質​的​に​富ま​せる​わけ​で​は​あり​ませ​ん。しかし,ご意志​を​成し遂げる​の​に​必要​な​もの​で​あれ​ば​何​で​も​僕​たち​に​お与え​に​なり​ます。備え​の​でき​た​アブラハム​は,見知ら​ぬ​土地​へ​と​出発​し​ます。

アブラハム​と​サラ​に​とっ​て,ウル​で​の​快適​な​生活​を​後​に​する​に​は​犠牲​が​求め​られ​た

18. (イ)アブラハム​は​いつ,神​が​ご自分​の​民​を​扱わ​れ​た​歴史​に​おい​て​重要​な​日​を​迎え​まし​た​か。(ロ)後​の​時代​の​ニサン​の​14​日​に​は,他​の​どんな​主要​な​出来事​が​起き​まし​た​か。(「 聖書​の​歴史​に​おける​重要​な​日付」と​いう​囲み​を​参照。)

18 ハラン​から​数​日​かけ​て​進ん​だ​所​に,カルケミシュ​が​あり​ます。一般​に​隊商​が​ユーフラテス​川​を​渡る​場所​です。その​場所​で,アブラハム​は​重要​な​日​を​迎え​ます。神​が​ご自分​の​民​を​扱わ​れ​た​歴史​に​おい​て​重要​な​日​です。それ​は​西暦​前​1943​年,後​に​ニサン​と​呼ば​れる​よう​に​なっ​た​月​の​14​日​の​こと​だっ​た​と​思わ​れ​ます。その​日​に​アブラハム​と​一行​は​ユーフラテス​川​を​渡り​ます。(出 12:40‐43)そこ​から​南​に​は,エホバ​が​アブラハム​に​示す​と​約束​さ​れ​た​地​が​広がっ​て​い​ます。神​の​アブラハム​に​対する​契約​は,この​日​に​発効​し​まし​た。

19. アブラハム​に​対する​エホバ​の​約束​は​何​に​言及​し​て​い​まし​た​か。アブラハム​は​何​を​思い出し​た​か​も​しれ​ませ​ん​か。

19 アブラハム​は​その​地​を​南下​し,一行​は​シェケム​に​近い​モレ​の​大木​林​の​所​で​止まり​ます。そこで​再び​エホバ​は​アブラハム​に​話さ​れ​ます。今回​は,アブラハム​の​胤​つまり​子孫​に​言及​し,その​子孫​が​この​地​を​所有​する​こと​に​なる,と​約束​さ​れ​まし​た。 アブラハム​は,エホバ​が​エデン​で​語ら​れ​た,将来​人類​を​救出​する「胤」つまり​子孫​に​関する​預言​を​思い出し​た​か​も​しれ​ませ​ん。(創 3:15; 12:7)そして,自分​が​エホバ​の​壮大​な​目的​の​一端​を​担う​と​いう​こと​を,おぼろげ​ながら​理解​し​始め​たこ​と​でしょ​う。

20. アブラハム​は,エホバ​が​与え​て​くださっ​た​特権​へ​の​感謝​を​どの​よう​に​示し​まし​た​か。

20 アブラハム​は,エホバ​から​与え​られ​た​特権​に​深く​感謝​し​ます。その​地​に​は​まだ​カナン​人​が​住ん​で​いる​ため​注意深く​行動​し​つつ,まず​モレ​の​大木​林​の​近く​で,次​に​ベテル​の​近辺​で,エホバ​の​ため​の​祭壇​を​築き​ます。そして,エホバ​の​名​を​呼び求め​ます。自分​の​子孫​の​将来​に​つい​て​じっくり​考え,神​へ​の​心​から​の​感謝​を​述べ​た​の​か​も​しれ​ませ​ん。また,近く​に​住む​カナン​人​に​宣べ伝え​た​よう​です。創世記 12:7,8を​読む。と​は​いえ,その​後​の​人生​の​旅路​で,アブラハム​の​信仰​は​大いに​試さ​れ​ます。アブラハム​は​賢明​に​も,ウル​で​後​に​し​た​家​や​快適​な​暮らし​を​振り返っ​たり​は​し​ませ​ん。将来​に​目​を​向け​て​い​ます。ヘブライ 11​章​10​節​は,アブラハム​に​つい​て​こう​述べ​て​い​ます。「彼​は​真​の​土台​を​持つ​都市​を​待ち望ん​で​い​た​の​です。その​都市​の​建設​者​また​造り主​は​神​です」。

21. わたしたち​は​アブラハム​と​比べ,神​の​王国​に​つい​て​どれ​ほど​多く​の​こと​を​知っ​て​い​ます​か。あなた​は​どう​する​よう​励まさ​れ​ます​か。

21 今日​エホバ​に​仕える​わたしたち​は,その​比喩​的​な​都市​で​ある​神​の​王国​に​つい​て,アブラハム​より​はるか​に​多く​の​こと​を​知っ​て​い​ます。その​王国​が​天​で​支配​し​て​おり,この​世界​体制​に​間​も​なく​終わり​を​もたらす​こと​や,アブラハム​の​待望​の​胤​で​ある​イエス​・​キリスト​が​現在​その​王国​を​統治​し​て​いる​こと​を​知っ​て​い​ます。将来,アブラハム​が​復活​し​て​くる​時​に,わたしたち​が​その​場​に​いら​れる​の​は​素晴らしい​特権​で​は​ない​でしょ​う​か。その​時​アブラハム​は,ぼんやり​と​しか​分かっ​て​い​なかっ​た​神​の​目的​を​ついに​理解​する​こと​に​なり​ます。あなた​は,エホバ​が​ご自分​の​約束​すべて​を​成就​なさる​の​を​見​たい​と​思い​ます​か。では​ぜひ,これ​から​も​アブラハム​を​模範​と​し​て​ください。自己​犠牲​の​精神​を​示し,従順​で​あり,エホバ​が​与え​て​くださる​特権​に​祈り​の​うち​に​感謝​し​ましょ​う。アブラハム​の​信仰​に​倣う​なら,「信仰​を​持つ​人​すべて​の​父」アブラハム​は,あなた​に​とっ​て​も​父親​の​よう​な​存在​と​なる​でしょ​う。

^ 1節 この​時,アブラハム​は​アブラム​と​いう​名前​でし​た。しかし​何​年​か​後​に,神​は​その​名​を​アブラハム(「多数​の​もの​の​父」の​意)に​改め​させ​まし​た。―創 17:5

^ 4節 アブラハム​も​テラ​の​息子​の​中​で​最​年長​で​は​あり​ませ​ん​が,しばしば​最初​に​名前​を​挙げ​られ​て​い​ます。

^ 6節 この​時,サラ​は​サライ​と​いう​名前​でし​た。しかし​後​に,神​は​その​名​を​サラ(「王妃」の​意)に​改め​させ​まし​た。―創 17:15

^ 12節 学​者​たち​の​中​に​は,アブラハム​の​時代​に​らくだ​が​家畜​と​し​て​飼わ​れ​て​い​た​こと​を​疑問​視​する​人​が​い​ます。と​は​いえ,そう​し​た​見方​に​は​根拠​が​欠け​て​い​ます。聖書​に​は,アブラハム​が​らくだ​を​所有​し​て​い​た​こと​が​何​度​も​言及​さ​れ​て​い​ます。―創 12:16; 24:35