科か学がく者しゃたちの考かんがえ: あらゆる生せい物ぶつの細さい胞ぼうは大おおきく2つに分ぶん類るいされます。核かくのあるものと核かくのないものです。人にん間げん，動どう物ぶつ，植しょく物ぶつの細さい胞ぼうには核かくがありますが，細さい菌きんの細さい胞ぼうにはありません。核かくのある細さい胞ぼうは真しん核かく細さい胞ぼうと呼よばれ，核かくのない細さい胞ぼうは原げん核かく細さい胞ぼうと呼よばれています。原げん核かく細さい胞ぼうは真しん核かく細さい胞ぼうほど複ふく雑ざつでないため，細さい菌きんの細さい胞ぼうが進しん化かして動どう植しょく物ぶつの細さい胞ぼうになったと考かんがえられています。

多おおくの科か学がく者しゃは次つぎのように説せつ明めいします。地ち球きゅう史しのどこかで，“単たん純じゅんな”原げん核かく細さい胞ぼうが他たの細さい胞ぼうをのみ込こんだ。しかし，取とり込こまれた細さい胞ぼう は消しょう化かされることなく，知ち性せいのない“自し然ぜんの力ちから”によって，大おお幅はばに機き能のうを変へん化かさせ，“宿しゅく主しゅ”細さい胞ぼうの複ふく製せい時じに一いっ緒しょに複ふく製せいされるようになった。⁹ a

聖せい書しょにはどんなことが書かかれているか: 聖せい書しょによると，地ち球きゅう上じょうの生せい命めいは高たかい知ち能のうを持もつ方かたによって造つくられました。こうあります。「言いうまでもなく，家いえは全すべて誰だれかによって造つくられるのであり，全すべてのものを造つくったのは神かみです」。（ヘブライ 3:4）シンプルで説せっ得とく力りょくのある説せつ明めいです。このようにも書かかれています。「エホバ，あなたの偉い業ぎょうは何なんと多おおいのだろう。あなたは知ち恵えによって全すべてを造つくった。地ち球きゅうはあなたが造つくったもので満みちている。……数かぞえ切きれないほどの生いき物ものがいる。小ちいさいものも，大おおきいものも」。（詩し編へん 104:24，25）

これまでに明あきらかになっていること: 微び生せい物ぶつ学がくの進しん歩ぽにより，現げん在ざい見みられる最もっとも単たん純じゅんな部ぶ類るいの原げん核かく細さい胞ぼうの驚きょう異い的てきな造つくりが明あきらかになっています。最さい初しょの細さい胞ぼうはそうした細さい胞ぼうに似にていたに違ちがいない，と進しん化か論ろんを支し持じする科か学がく者しゃたちは考かんがえています。¹⁰

もし進しん化かが事じ実じつなら，最さい初しょの“単たん純じゅんな”細さい胞ぼうが偶ぐう然ぜんに生しょうじた過か程ていについて納なっ得とくのいく説せつ明めいができるはずです。一いっ方ぽう，創そう造ぞうが事じ実じつなら，最さい小しょうの生せい物ぶつにも見み事ごとな設せっ計けいの証しょう拠こがあるはずです。ではこれから，原げん核かく細さい胞ぼうを“見けん学がく”してみましょう。このような細さい胞ぼうが偶ぐう然ぜんに生しょうじることがあるだろうか，と考かんがえてみてください。

原げん核かく細さい胞ぼうを“見けん学がく”するには，体からだの大おおきさを1㍉の1000分ぶんの1以い下かにまで小ちいさくしなければなりません。まず目めの前まえに立たちはだかるのは，強きょう靱じんな細さい胞ぼう膜まくです。ちょうど，工こう場じょうを取とり囲かこむレンガの壁かべのような役やく目めをしています。紙かみの1万まん分ぶんの1ほどの薄うすさしかありませんが，レンガの壁かべよりもはるかに精せい巧こうです。

工こう場じょうを囲かこむ防ぼう壁へきのように，細さい胞ぼう膜まくは周しゅう囲いに潜ひそむ危き険けんから内ない部ぶを守まもっています。とはいえ，細さい胞ぼう膜まくは隙すき間まが全まったくないわけではありません。酸さん素そなどの小ちいさな分ぶん子しを出で入いりさせて，細さい胞ぼうが“呼こ吸きゅう”できるようにしています。でも，より複ふく雑ざつで危き険けん性せいのある分ぶん子しはブロックし，許きょ可かなく進しん入にゅうさせることはありません。必ひつ要ような分ぶん子しを細さい胞ぼう外がいへ流りゅう出しゅつさせることもありません。どういう仕し組くみになっているのでしょうか。

実じっ際さいの工こう場じょうでは，防ぼう壁へきに出で入いり口ぐちが幾いくつか設もうけられていて，警けい備び員いんが物ぶっ品ぴんの搬はん入にゅうや搬はん出しゅつを見み守まもっています。同おなじように，細さい胞ぼう膜まくには特とく別べつなタンパク質しつ分ぶん子しが埋うめ込こまれていて，出で入いり口ぐちと警けい備び員いんの役やく目めを果はたしています。

そうしたタンパク質しつの中なかには，真まん中なかに穴あなが開あいていて，特とく定ていの分ぶん子しだけが出で入いりできる ようになっているもの（1）があります。また，細さい胞ぼう膜まくの一いっ方ぽうの側がわが開あいていて，もう一いっ方ぽうの側がわが閉とじているタンパク質しつ（2）もあります。それらは特とく定ていの物ぶっ質しつに適てき合ごうする形かたちをした結けつ合ごう部ぶ（3）を持もっていて，その物ぶっ質しつが結けつ合ごうすると，タンパク質しつの反はん対たい側がわが開ひらき，物ぶっ質しつが膜まくを通とおって放はなたれます（4）。制せい御ぎょされたこのような出で入いりが，最もっとも単たん純じゅんな細さい胞ぼうの膜まくでも起おきているのです。

“警けい備び員いん”の許きょ可かを得えて，細さい胞ぼうの中なかへ入はいれたとしましょう。原げん核かく細さい胞ぼうの内ない部ぶは，養よう分ぶんや塩えん分ぶんなどを豊ゆたかに含ふくんだ水すい様よう液えきで満みたされています。細さい胞ぼうは，そうした成せい分ぶんを原げん料りょうにして，必ひつ要ような“製せい品ひん”を作つくり出だします。無む計けい画かくな生せい産さんではなく，生せい産さん効こう率りつの高たかい工こう場じょうのように稼か働どうしています。何なん千ぜん何なん万まんもの化か学がく反はん応のうが，決きめられた手て順じゅんとスケジュールに従したがって起おきるようになっているのです。

細さい胞ぼうは，タンパク質しつの合ごう成せいに多おおくの時じ間かんを費ついやします。その工こう程ていはこうです。まず，アミノ酸さんと呼よばれる基き本ほん構こう成せい要よう素そを約やく20種しゅ類るい作つくります。次つぎに，そのアミノ酸さんをリボソーム（5）に運はこびます。リボソームはオートメーション化かされた機き械かいのようなもので，アミノ酸さんを正ただしく配はい列れつし，特とく定ていのタンパク質しつを形けい成せいします。工こう場じょうの作さ業ぎょう工こう程ていがコンピュータープログラムによって制せい御ぎょされるのと同おなじように，細さい胞ぼうの働はたらきの多おおくは，“コンピュータープログラム”つまりDNA（6）として知しられる暗あん号ごうによって制せい御ぎょされています。リボソームはDNAから，どのタンパク質しつをどのように作つくるかに関かんする詳しょう細さいな指し示じ書しょのコピーを受うけ取とります（7）。

タンパク質しつ合ごう成せいの工こう程ていは実じつに驚きょう異い的てきです。タンパク質しつはそれぞれが折おり畳たたまれて，特とく殊しゅな立りっ体たい構こう造ぞうになるのです（8）。その形かたちによって，タンパク質しつの行おこなう仕し事ごとが決きまります。 b エンジンを組くみ立たてる生せい産さんラインを思おもい浮うかべてみてください。各かく部ぶ品ひんを正せい確かくに組くみ合あわせなければ，エンジンは動うごきません。同おなじように，タンパク質しつも正せい確かくに組くみ上あげられ，正ただしい形かたちに折おり畳たたま れなければ，適てき正せいに機き能のうすることはありません。細さい胞ぼうにダメージを与あたえる恐おそれさえあります。

完かん成せいしたタンパク質しつは，必ひつ要ようとされる場ば所しょにどうやってたどり着つくのでしょうか。細さい胞ぼうの作つくったタンパク質しつにはそれぞれ“荷に札ふだ”が付ついていて，そのおかげで，必ひつ要ようとされる場ば所しょに確かく実じつに運はこばれます。毎まい分ふん何なん千ぜん何なん万まんものタンパク質しつが作つくられては運はこび出だされますが，全すべてが正ただしい場ば所しょに届とどきます。

こうした事じ実じつから何なにが分わかるか: 最もっとも単たん純じゅんな生せい物ぶつの細さい胞ぼうでも，細さい胞ぼう内ないの複ふく雑ざつな分ぶん子しは，単たん独どくでは増ぞう殖しょくできません。細さい胞ぼうの外そとでは崩ほう壊かいしてしまいますし，内ない部ぶでも，他たの複ふく雑ざつな分ぶん子しの助たすけを得えなければ増ぞう殖しょくできないのです。例たとえば，アデノシン三さんリン酸さん（ATP）と呼よばれる特とく殊しゅなエネルギー分ぶん子しを作つくるには酵こう素そが必ひつ要ようですが，酵こう素そを作つくるにはATPからのエネルギーが必ひつ要ようです。同どう様ように，酵こう素そを作つくるにはDNAが必ひつ要ようですが，DNAを作つくるには酵こう素そが必ひつ要ようです。（DNAについては質しつ問もん3の部ぶ分ぶんで取とり上あげ ます。）他たのタンパク質しつも細さい胞ぼうがなければ合ごう成せいできませんが，細さい胞ぼうはタンパク質しつがなければ生せい成せいされません。 c

微び生せい物ぶつ学がく者しゃのラドゥ･ポーパは，創そう造ぞうについての聖せい書しょの教おしえを受うけ入いれていませんが，2004年ねんにこう問とい掛かけました。「われわれがあらゆる条じょう件けんを整ととのえて実じっ験けんしても成せい功こうしなかったというのに，自し然ぜんはどうやって生せい命めいを生うみ出だしたのか」。¹³ また，「生いきている細さい胞ぼうが機き能のうするのに必ひつ要ようなメカニズムはどれも非ひ常じょうに複ふく雑ざつなので，偶ぐう然ぜんに同どう時じ発はっ生せいすることは不ふ可か能のうに思おもわれる」とも述のべています。¹⁴

どう思おもいますか: 進しん化か論ろんは，神かみの関かん与よなしに地ち球きゅう上じょうに生せい命めいが生しょうじたと説せつ明めいしようとします。しかし，生せい命めいについて理り解かいが深ふかまれば深ふかまるほど，それが偶ぐう然ぜんに生しょうじたとは考かんがえにくくなります。そのため，進しん化か論ろんを支し持じする科か学がく者しゃの中なかには，このジレンマから目めを背そむけ，進しん化か論ろんと生せい命めいの起き源げんとを分わけて考かんがえようとする人ひともいます。それは筋すじの通とおったことだと思おもいますか。

進しん化か論ろんは，幾いくつもの幸こう運うんの連れん続ぞくによって生せい命めいが始はじまったという考かんがえに基もとづいています。そこからさらに偶ぐう然ぜんが続つづき，驚おどろくほど多た様ようで複ふく雑ざつな生せい物ぶつが生うみ出だされていった，としています。とはいえ，理り論ろんの基き礎そがないも同どう然ぜんだと，その上うえに築きずかれた理り論ろんはどうなるでしょうか。しっかりした基き礎そのない高こう層そうビルが崩くずれてしまうのと同おなじように，生せい命めいの起き源げんを説せつ明めいできない進しん化か論ろんは崩ほう壊かいすることになります。

“単たん純じゅんな”細さい胞ぼうの構こう造ぞうや機き能のうを手て短みじかに見みて，どう思おもいましたか。細さい胞ぼうは偶ぐう然ぜんが重かさなって生しょうじたのでしょうか。それとも，高たかい知ち能のうを持もつ誰だれかが設せっ計けいしたのでしょうか。もっと根こん拠きょが欲ほしいと思おもいますか。では次つぎに，全すべての細さい胞ぼうの機き能のうを制せい御ぎょする“メインプログラム”を詳くわしく見みてみましょう。